逮捕の田中前日大理事長、暴力団をチラつかせて学内を支配した黒歴史 総長選候補に「5千万円渡すから辞退しろ」

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“警察の内部で…”

 黒い交際とカネをチラつかせ、日大を牛耳るようになった田中容疑者。2008年には、ついに理事長に就任する。

「まず着手したのは学内にある在席を知らせる電光掲示板の『総長』と『理事長』の位置を入れ替えることでした。それまでは総長が上だったのを、理事長を上にし、自らがトップだと宣言した。対立していた幹部を左遷し、最終的に東京・稲城のグラウンドの守衛にするなど、逆らう奴がいれば呼び出して“北海道の大学施設の管理人が空いてるぞ”と脅すのです」(同)

 学内を恐怖で震え上がらせる一方で「政・官」との結びつきも強めようとしていた。例えば、官邸の守護神といわれた警察庁出身の杉田和博前官房副長官もその一人。事情を知る関係者によれば、

「まだ杉田さんが官房副長官に就任する前の2000年代後半、田中さんと杉田さんが阿佐ヶ谷にある田中夫人が経営するちゃんこ屋で食事をしたことがあります。杉田さんは田中さんに“警察の内部で田中さんの悪い情報を聞く。気を付けた方がいい”と忠告していた。その後、杉田さんは反社との付き合いを含め危ないと思ったのか、田中さんとは距離を置くようになったと聞いています」

 当の杉田氏に実際のところを聞くと、

「(会ったのは)サシではないと思いますよ。記憶にございませんね」

 と煙に巻く。

 さらに16年、日大は130周年記念事業として危機管理学部を創設する。これに尽力したのが、警察官僚出身の亀井静香元衆院議員だ。

 亀井氏は田中容疑者をこう擁護する。

「俺が(田中理事長に)危機管理学部を作るように進言したんだよ。やると言ったら早い。パパッと作っちゃった。相撲取りからマンモス校のトップまでいったんだから、大人物だよ」

「政・官・暴」に食い込み、田中容疑者は利権を貪ってきた。一方で、危機管理のため警察OBを抱き込みながら、自身が逮捕されてしまった。これほどの皮肉もなかろう。

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

特集「ついに逮捕 “日大のドン”『田中英寿理事長』が相撲道からマンモス利権への『政・官・暴』黒歴史」より

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