「長崎カジノ」は“崩壊寸前”…「出資金3500億円が集まらない」県の担当者も認めた“危機”

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廉潔性調査はちゃんと行われたのか

 実際この2カ月、界隈では「CAIJが資金調達に駆け回っているが、ことごとく断られている」という情報が出回っていた。

「TBSに120億円、地元テレビ局に5億円の出資を依頼したものの、いずれも断られたと聞いています。博報堂や海外のカジノオペーレーターにも声をかけたが、ダメ。3500億円のうち半分は融資で賄うことも可能ですが、地元経済界の有力者によれば、幹事銀行すら決まっていないというのです」(地元経済界関係者)

 これらの動きは、公募で選定された後の話である。このような県とCAIJの動きに対し怒り心頭なのは、選考レースで落選した事業者たちだ。

「私たちは選考過程で、資金調達計画について県から厳しい注文を課せられました。出資先のコミットメントレターも提出しています。なんで今更、資金調達に奔走しているような事業者を選定したのか、意味がよくわかりません」(二次選考で落選した事業者)

「デイリー新潮」はこれまで2回にわたり、長崎県が行った公募審査が不透明だった疑惑について取り上げてきた。今年8月に1次審査に通過した3事業者の最終コンペ直前に、CAIJ以外の2社は、「県から『廉潔性に問題がある』との理由で、公募から降りるよう圧力を受けていた」と主張しているのだ。

 だが、実はカジノ・オーストリアこそ、廉潔性に大いに問題を抱えた事業者なのである。2019年には母国オーストリアで、同社の主要株主だったカジノゲームメーカーが財務大臣に賄賂を提供し、カジノ運営許可について便宜を図っていた疑惑が浮上。その後、首相が相次いで辞任するなど、オーストリア政界を揺るがす大疑獄に発展している。

「努力調整? あまり聞かない言葉ですね」

 資金調達の話に戻ると、県は当初、11月末までに議会に区域整備計画の素案を示すとしていた。「デイリー新潮」が11月上旬にIR推進課に取材した時も、「その予定で進めています」と回答。だが、県は期日までに提出できず、議会を紛糾させるきっかけを作った。なぜ遅れたのか。県庁関係者は「カネ集めに苦戦していたからです」と明かす。県は12月上旬に開催予定の総務委員会で60ペーシの素案を提出するとしているが、そこに記載されているのは施設やコンセプトの説明ばかりで、出資計画については曖昧なままだと言われている。

 長崎県のIR推進課長に取材した。

――議会へ区域整備計画の提出が遅れた理由は何なのか。

「審査委員会からのいろいろな指摘が入ったのと、CAIJさんのほうで配置図が若干変更になったり、お客様の動線が変わったり、詳細に打ち合わせし直した結果です」

 当初、このように、理由は別にあると答えた課長。だが、この後、記者が質問を重ねると様子が変わってきた。

――先日の議会で、資金調達について企画部長は「事業者(CAIJ)におきまして努力調整させていただいています」と回答している。「努力調整」とはどういう意味か。

「努力調整? あまり聞かない言葉ですね」

 このように、とぼけ出した課長。

――議会答弁をそちらでは把握していないということなのか。

「いや、その、当日、どういうふうな言い回しで言ったかまではビデオを見ていないので……。資金調達のところはCAIJが鋭意努力していると、報告を受けているという意味です」

――つまり、出資者が決まっていない、資金調達の目処が立っていないということか。

「うーん、何と答えればいいんですかねぇ……」

 しばし課長は沈黙した。だが、やがて観念したのか、あっけらかんとこう答えた。

「まだ決まっていないというところです。いま、現時点ではですね」

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