「長崎カジノ」は“崩壊寸前”…「出資金3500億円が集まらない」県の担当者も認めた“危機”

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 コロナ禍ですっかり機運がしぼんでしまったカジノ解禁。現在、大阪府・大阪市、和歌山県、長崎県の3地域がIR誘致に名乗りを上げているが、厳しい状況に追い込まれているのが長崎だ。来年4月末までに国へ認可を求めて申請する段階まで来ているというのに、資金調達の目処が立っていないのだ。そのため議会も紛糾。「デイリー新潮」が長崎県IR推進課に取材すると、担当者が“絶望的な現状”を明かした。

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紛糾した議会

 まずは、12月3日に開催された長崎県議会の模様からお伝えしよう。

――事業計画の中で提案すると言っていたメガバンクというものは決まっているのでしょうか。

「資金調達の面については、なかなか関係する企業の経営判断等ありますし、それから事業者と関係する企業など機密に関わることでございます。資金調達の件については現時点でも申し上げることを控えさせていただきます」

――しかし、資金面運用面は重要なことだと思います。企業やメガバンクがどこかというところまでは、今は聞いておりません。決定したのかどうかを聞いているのです。

「出資の状況につきましては、現在、事業者におきまして努力調整をさせていただいております」

 追及するのは、自民党系会派に所属する浅田ますみ議員。たじたじで答えているのは、IR推進課を傘下に持つ企画部長だ。

 IR開業を目指す自治体は来年4月28日までに、選定した事業者と共同で整備計画を作成し、国に区域認定申請をする。IR整備法で決められた日本に最初に設置されるIRは3カ所まで。国の認可が下りたら、工事着工し、開業となる運びだ。

名の知れたパートナー企業はKADOKAWA子会社の「ドワンゴ」くらい

 今年9月、長崎県は公募を経て、オーストリアの国有企業「カジノ・オーストリア・インターナショナル」の関連企業である「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン(CAIJ)」を設置運営事業予定者に決定し、同社と基本協定を締結した。開発総事業費は3500億円。費用はCAIJ側が全額用意する。県は年間840万人の集客を見込み、2027年後半の開業を目指すとしているが、議会での答弁でもわかるように、事業計画どころか実行に移す資金が集まっていないのである。

 県庁関係者が語る。

「CAIJが公募で選定された時から、同社を疑問視する声は噴出していました。カジノ・オーストリアはヨーロッパを中心に小規模のカジノを運営している事業者で、大規模IRを設置・運営した実績はまったくない。単独で1000億円単位の資金を用意できる資金力もありません」

 一般的に、大規模施設を設置するIR事業を展開するにあたっては、コンソーシアムを形成して資金を供出し合う。だが、これまでCAIJが明らかにしているパートナー企業の中には、数百億規模の資金を捻出できるような企業は見当たらない。名の知れた企業は、ニコニコ動画を運営するKADOKAWAの子会社の「ドワンゴ」くらいだ。

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