韓国大統領選で与党候補が「『産婦人科』は日帝の残滓」と主張 それでも韓国世論が冷静なワケ

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日本語を言葉狩り!?

 共同通信系列の専門紙「NNAアジア経済情報」が2019年に配信したコラム「テイクオフ:韓国は本来、漢字圏の国…」では、《外来語を極力使わないようにする「ハングル純化」運動》について紹介されている。このコラムによると、《特に日本語由来の単語がターゲットになりがち》だという。

《「ムデポ(無鉄砲)」など、やり玉に挙がった日本語由来の言葉は枚挙にいとまがない》

「日帝の残滓」という主張はさておくとして、韓国の歴史を見れば、「産婦人科」がやり玉に挙がることは決して珍しいことではないようだ。だが実際は、韓国人が日本語由来の韓国語を排斥しようと一致団結しているわけでもない。

 韓国の朝鮮日報には名物コラム「萬物相」が掲載されているが、2019年7月には「『大統領』はどこの国の言葉か」という記事が掲載された。

 冒頭には《「日本語由来のウリマル(わが国の言葉)辞典」は高麗大学のイ・ハンソプ名誉教授が1970年代から研究を重ねてきた研究成果の集大成だ》と記されている。

「清算は日本から来た言葉」

 同辞典によると、1880年代以降、韓国語同然となった日本語は3634語あるという。

「そのうちの90%は日本語由来であり、使われる際は韓国語の読みで発音されているそうです。コラムには具体例として『教育』『家族』『国民』が挙げられています。残りは日本語の発音のまま韓国語になった単語です。コラムでは『もなか』『満タン』『無鉄砲』が該当するとしています」(同・記者)

 産婦人科の場合は、韓国語の発音も日本語とほぼ同じなのは前に見た通りだ。しかし、韓国語で発音されるようになった日本語由来の単語となると、それこそ枚挙に暇がないようだ。朝鮮日報のコラム「萬物相」によると――

《京畿道教育庁が管内の初等学校(小学校)、中学校、高校に文書を送り、「日帝残滓(ざんし)清算」との理由から「修学旅行、ファイティング、訓話などの単語は日本から来たので日帝残滓」と指摘した。児童・生徒たちには「本人が考える日帝残滓の概念はどういうもので、それらはどうやって清算すべきか」と問い掛けた。しかしこの言葉の中にある「本人」「概念」「清算」は日本から来た言葉だ。「単語」もそうだ》

《イ・ジェジョン京畿道教育監(日本の教育委員会に当たる教育庁のトップ)は大学でドイツ語とドイツ文学を専攻し、大学院では宗教学と神学で博士学位を取得した。しかし「ドイッチェランド」を「独逸(ドイツ)」と訳したのも実は日本人で、「大学」「大学院」「神学」「宗教」「博士」も全て日本から来た言葉だ。「国語」「英語」「数学」はもちろん「科学」「哲学」「物理」「歴史」「美術」「音楽」「体育」もそうだ》

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