韓国大統領選で与党候補が「『産婦人科』は日帝の残滓」と主張 それでも韓国世論が冷静なワケ
日帝の残滓で韓国女性が被害!?
今回「産婦人科は日帝の残滓」と発言したのは李在明氏だ。
「李候補は『産婦人科』という名称は『婦人』だけの病院、つまり既婚女性専門の病院というイメージを生んでいると問題視しました。『女性健康医学科』に改称すれば、全ての女性が安心して通えるようになると訴えたのです。ここまでは隣国の議論であり、日本人がとやかく言うことではありません。問題なのは、李候補が『産婦人科』は日本語に由来した名称であり、そのために韓国女性の健康が害されていると指摘した点です」(前出の記者)
聯合ニュースの記事を引用しよう。
《産婦人科という名称は「日帝(日本帝国主義)の残滓(ざんし)」とし、「女性の健康と疾患を婦人病と呼ぶ時代錯誤的な認識が女性、青少年、未婚女性の病気を重くしている」と主張した》
「韓国語会話の本を見ると、『産婦人科』は『サンブインクァ』と発音するようです。確かに、日本語由来と考えて間違いないでしょう。しかし、日本語が由来だから『産婦人科という言葉に時代錯誤的な認識』があるという指摘には、首を傾げざるを得ません。日本語由来の韓国語は、それこそ山のようにあるのです。その全てを日帝の残滓と指摘できるはずもありません」(同・記者)
「おまかせ」や「海鮮丼」も韓国語
ネット上では、「日本語由来の韓国語」が多数紹介されている。例えば、韓国語講師でYouTuberの「トリリンガルのトミ」が執筆したコラムには、以下のような単語が紹介されている(註1)。
「가방(カバン)=鞄」、「간지(カンジ)=感じ」、「만땅(マンタン)=満タン」、「앗싸리(アッサリ)=あっさり」、「빵꾸(パンク)=パンク」、「나와바리(ナワバリ)=縄張り」、「츤데레(チュンデレ)=ツンデレ」、「오타쿠(オタク)=オタク」
産経新聞が11月13日に掲載した「【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 美食は伝統を駆逐する」には、韓国のレストランで日本語の「おまかせ」が流行していると伝えている。日本で修行を積んだ韓国人の和食調理人が「おまかせ」をメニューに登場させたことで注目を集めたという。
他にも、「刺身をかけたご飯」という意味の「フェドッパ」という韓国語が存在するにもかかわらず、最近は「海鮮丼」が「カイセンドン」という日本語の発音のまま流行語になっていることも紹介されている。
このコラムでは20年9月にも、日本語の「ビラ」が韓国語になっているという話が紹介されている。興味深いことに、多くの韓国人が日本語由来だと知らず、北朝鮮でさえも「ビラ」という単語を使っているという。
この2本のコラムは、産経新聞ソウル駐在特別記者(ソウル支局長特別記者)兼論説委員である黒田勝弘氏の署名記事だ。
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