オミクロン株の重症化率、死亡率は高くない? ワクチン、治療薬は効くのか…専門家が解説

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治療薬の効果は

 Q.では治療薬は効くだろうか?

 寺嶋教授が「はっきりしたことはまだ言えない」という前提で、説明する。

「Sタンパクにくっついて、ウイルスの細胞侵入を防ぐ抗体薬、抗体カクテル療法やソトロビマブは、Sタンパクに変異があると、効果が弱くなる可能性があると思います。一方、いまも使われているレムデシビルや、もうすぐ使えるようになるメルクの経口薬モルヌピラビルや、ファイザーが開発中のパクスロビド、塩野義製薬が開発している内服薬は、ウイルスが細胞内に入ってから増殖するのを防ぐので、変異の影響を、比較的受けにくいと考えられます。ですから、早く使えることが望まれます」

 Q.ワクチンと治療薬以外に、自衛策はあるか?

 松井准教授が言う。

「個人の基本的な感染対策です。日本人はこれだけ感染者が減っても、しっかりマスクをしていますし、まじめな人が多いから大丈夫だと思いますが、改めてマスク、密の回避、換気、手洗い、アルコール消毒など、基本的な感染対策を、いままで通りにきっちり続けることです。そしてワクチンは、打ちたくない人も打ったほうがいい。3回目のブースター接種も、順番がきたら打つ。こうして第6波を遅らせ、同時に小さくすることが大事です」

 身構えずに、当たり前のことを愚直に行えばいい、ということである。

 Q.これまで同様、4カ月周期で波が来るのか?

「これまでもアルファ株、デルタ株と変異してきましたが、その周期は変わっていません。新型コロナであるかぎり、4カ月周期は保たれると思います」

 と言うのは唐木氏。もっとも周期は同じでも、オミクロン株が大きな第6波につながれば、収束の時期も後ろ倒しになる、というのが大方の見解である。

 だが、松井准教授は、次のようにも言う。

「第5波が突然消えたのは、ワクチン接種やマスク着用だけではなく、ウイルス自体の問題もあったと思います。今後もある程度波を迎えながら、だんだん風邪のようなものになっていくのではないかと思います」

 油断は禁物。警戒は必要である。だが、大きな流れで見れば、収束に向かう過程で起きるのがウイルスの変異。いままた正しく恐れることの大切さを、忘れてはなるまい。

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

特集「世界が恐慌 新変異株『オミクロン』の謎に答える」より

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