オミクロン株の重症化率、死亡率は高くない? ワクチン、治療薬は効くのか…専門家が解説

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空気感染のリスクは高まる?

 Q.感染しやすいということは、空気感染の危険性も高まったのか?

 寺嶋教授はこう見る。

「南ア発オランダ行きの飛行機では、2便の乗客600人中61人が陽性で、うち13人がオミクロンと確認されました。香港で感染が確認された2人も、廊下を隔てた向かいの部屋にいたというので、空気感染の危険性が高まっている可能性は、あるかもしれません」

 だが、松井准教授は、

「その例だけで、空気感染のリスクが高いとはいえないと思います」

 と言う。その理由だが、

「変異はしても、ウイルスはそこまで極端に変化するものではないので、空気感染しにくかったウイルスが、突然するようになるとは考えづらいです」

 エアロゾル感染の危険性が以前より増した可能性くらいは、想定しておいてもいいかもしれない。

 Q.日本も市中で感染が広がるのか?

 すでにナミビアから成田に着いた男性の、オミクロン株感染は確認されているが、市中で発見された例はない。松井准教授は、

「間違いなく、日本にも入ってきます。デルタ株同様、流入を完全に止めるのは無理で、第6波につながる可能性も高いでしょう」

 と見て、こう続ける。

「でも、流入を遅らせることができれば、その間に感染力や重症化の有無、ワクチンや薬の効き方などの情報が入るし、時間を稼いでいるうちに、医療体制を整えることもできる。ある程度の情報は2~3週間で入るというので、入国制限は正解だと思います」

 一方、素早い対応のリスクを指摘するのは、唐木氏である。

「オミクロンについては、WHOがVOCに指定しただけで、事実上、まだなにもわかっていないのに、各国とも予防的に非常に厳格な対策をとっている。インフォデミック、つまりインフォメーションのパンデミックが起き、人々が恐怖感を抱いているからです。こういうとき、政治家は厳しい対策をとったほうが支持されますが、結果、世界的に株価が下がり、それだけでも大変な損失です。過剰な措置をとると、今後発生国が届け出なくなるリスクもあります。1週間待てば、もう少し科学的根拠もそろうでしょうから、それまでは従来の水際対策でよかったと思います」

 これは、われわれが冷静さを失ってはいけない、という警告である。

未知のウイルスとは違う

 Q.既存のワクチンは効くのだろうか?

 抗体がくっつくSタンパク質が変異しているということは、せっかくできた免疫の効果が失われ、接種したワクチンも効かない可能性があるのだろうか。松井准教授が解説する。

「やはりVOCに指定されたベータ株やデルタ株などは、変異のせいでワクチンの効き目が下がっても、なお十分な効果を発揮すると科学的に検証されて、実際にそうでした。それを考えると、オミクロンに対しても、まったく効かなくなることはないと思います。ワクチンを打つとできるのは、“Sタンパク質に対する中和抗体”ですが、ひと口に中和抗体といっても、多くの種類ができるので、その一部が変異のせいで効かなくなっても、すべてが効かなくはならないでしょう」

 だから、これまで通り、

「未接種の方は打ったほうがよく、間もなく始まる3回目も打つべきです。それに、ファイザーもモデルナも、オミクロン株を使った新しいワクチンをすぐに作れるといいます」

 補えば、ファイザーは100日以内、モデルナは来年初めにも、大量供給できるという。

「その意味でも、2年前に突然、未知のウイルスが出てきたときとは状況が違い、世界中がいろいろな情報を持っています。過剰に恐れる必要はありません」

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