12月のお楽しみ「アドベントカレンダー」 在仏ジャーナリストがトレンドを紹介

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日本のアドベントカレンダーの特徴は

 そんなアドベントカレンダーは、日本でも知名度を上げてきているようです。人気のジャンルは、まずは定番のチョコレート。デパートやオンラインショップでも売られているので、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身もそうなのですが、パリを訪れた日本人が「ピエール・エルメ」や「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」など日本でも人気の老舗ブランドや、「ル・ショコラ・アラン・デュカス」といった人気ショコラティエが販売するアドベントカレンダーを見かけ、お土産やプレゼントとして持ち帰ったのが、日本でひろまったきっかけのひとつでもあるようです。

 フランスで暮らしていると、日本人の情報収集能力の高さに驚かされます。観光で来た人が、パリ在住の日本人にもあまり知られていないようなお店を知っていたり、「今フランスでこれが流行っているんでしょ?」と、知らなかったことを教えてもらったり。また、日本でも馴染み深い有名ショコラティエのチョコレートをフランス人に手土産で持って行ったら「こんなショコラティエあるのね」と言われたことも何度かありました。日本人の方が詳しいくらいですから、海外で販売されていたアドベントカレンダーに注目したとしても不思議はありません。

 もうひとつ、日本では美容アイテムのアドベントカレンダーが人気のようです。こちらのきっかけは、おそらくYouTube。3~4年前から「アドベントカレンダーの開封動画」がアップされるようになって、知名度が高まったようです。

 美容アイテムのアドベントカレンダーは、「クリスチャン・ディオール」「イヴ・サンローラン」「ゲラン」など、フランスの有名ブランドのものもあります。価格も数万円と、簡単に購入できる金額ではないのですが、YouTuberたちがアップするレビュー動画を参考にしたり、見て楽しんだりしているよう(何十万回も再生された動画もあります)。その影響か、BUYMAなどの輸入代行サイトやオンラインショップで、美容アイテムのアドベントカレンダーはこの時期の人気商品となっているようです。

 今年はさらに「CHANEL」が定番の香水「No.5」の発売100周年を記念して、香水のアドベントカレンダーを初めて発売しました。日本での価格は96,800円(税込)と、その値段の高さが話題性を高めてもいます。

 もっとも、美容系アドベントカレンダーは、通常商品には扱いのないミニサイズが24個買えて、結果的にコストパフォーマンスが良いというのも人気の秘密です。たとえば6000円のアドベントカレンダーを購入すると、2万円以上の商品を手に入れられるということも。ブランドにとっても、多くの種類の商品のミニサイズを消費者に手に取ってもらえ、新しい商品を試してもらえる絶好の機会になっているようです。

 子供向けのLEGOやROYCEチョコの開封動画は、10年以上前から日本語版のYouTubeにあるにはあるのですが、再生数は美容アイテムのものには及びません。このことから、日本でのアドベントカレンダーは子どもではなく、大人の女性が興味をもつ対象であると推測できますね。

 2021年のアドベントカレンダーには、「資生堂」、「カルディ」や「無印良品」など、日本ブランドのものもあります。今後、日本でもさらに浸透していきそうです。

ヴェイサードゆうこ
翻訳家・ジャーナリスト。青山学院大学国際政治経済学部卒。ITベンチャーから転身し、女性向けweb媒体のライター、飲食専門誌の編集記者として執筆。2016年よりフランスに移住し、現在はYouTubeで現地情報を発信中(http://bit.ly/2uQlngQ)。

デイリー新潮編集部

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