環境問題への長年の違和感 自分と違う思想の人間を徹底糾弾していいのか(中川淳一郎)
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の大きな議題は、地球温暖化の主要因とされる化石燃料の削減です。化石燃料の中でも石炭は段階的廃止を求められましたが、石炭に頼る中国や発展途上国から支持されたインドが反発し、最終的には「段階的削減」に目標が修正されました。
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会議出席者や記者はインドの代表を責めるような様子でしたが、正直「お前が言うか」と思いました。1760年代の産業革命から散々石炭を使って富を増したイギリスをはじめ、多くの先進国がこれまで石炭を利用し尽くしてきたから今があるんでしょ?
水力、風力、太陽光といったクリーンエネルギーでやればいい、というロジックですが、結局化石燃料が安くて効率的なんですよ。なんだったらインドは「じゃあ、原発をバンバン我が国に作ってくれ」といった極端な交渉でもよかったのかな、とも思います。
これは核兵器もそうです。散々核兵器を作りまくった国々が「これからは少なくするのに協力するんでよろしく」的態度をとりつつ、「核兵器禁止条約」の会議には参加しない。お前らが開発競争やりまくったからこんな会議をすることになったのに、いざとなればとんずら。そして普段は「核の抑止力があるから戦争が起きない」というロジックを主張する。
スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんもそうですが、先日、新宿駅前で若者の環境活動家が子供を引き連れて石炭火力発電の廃止を訴えました。若者・子供であればメディアは「彼らの未来のために我々は石炭火力発電をやめなくちゃいけない」となります。でも、あなたのその服、石油から作っているでしょうし、家で電気使いまくってるでしょ? スマホの充電、火力発電で作った電気ですよ。あなた方活動家により原発止められていますし。そもそも、このデモの日、歩いてきたんですか? 団体の代表は愛知県から来たそうですが、当然新幹線で来ていますよね?
この手の話に私が不信感を持ったのは、1990年代前半~中盤に遡ります。当時、地球温暖化で南極の氷が溶け地球が水没するとか、CO2排出でオゾン層に穴が開き、猛烈に暑くなるとか言われました。もう30年同じことをやり続けているのです。そして、大学受験の小論文で、予備校の講師からはひたすら地球温暖化を含めた環境問題への懸念を書けばいいと指導された。当然元活動家です。
その後、牛のゲップによりオゾンホールが開くから牛を食べるのをやめようと言い出す人が出る。「環境問題は大事」「地球の将来を守れ」「子供に豊かな未来を残せ」という大義名分があれば、誰かを徹底的に責めてもいいと考えるのがこうした人々。コロナ騒動では「他人の命を守れ」「思いやりのためにワクチンを打て」といった人々が大量に登場しましたが、一見人道的なことを言っているようで、結局は自分と考え方の違う人間を悪人認定し、糾弾してるだけ。今回のインドへの批判だって同じです。
でも、いずれ氷河期とか来るかもしれませんよ。そんな時、「あの頃の人間は暖かくなることを問題視していたなんてバカな連中だ」と未来人から言われているかもしれません。