「朝鮮総連ビル売却」「ロシア投資詐欺」にも関与…1億流用で逮捕の74歳「元自民党参院議員」の正体
警視庁は11月28日、元参院議員の山内俊夫容疑者(74)を業務上横領の容疑で逮捕したと発表した。担当記者が言う。
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「山内容疑者は『羽田空港格納庫合同会社』の経営に関わっていました。同社は羽田空港にある格納庫を売買するために設立したものです。その資金から山内容疑者が1億円を不正に流用し、着服した疑いがあるとして、捜査2課が逮捕しました」
着服した金で山内容疑者は、京都府や香川県の土地を私的に購入したという。さらに被害額は総額で2億円を超える可能性もあり、捜査2課が調べを進めている。
「格納庫は国有地に建っていたこともあり、国土交通省職員の汚職事件の舞台になったという曰く付きの物件でした。国有地の使用許可の更新などで便宜を図ってもらおうと、格納庫を所有する会社の社長が、国交省航空局の係長に数十万円の現金を渡したのです。2015年に警視庁が2人を贈収賄容疑で逮捕、いずれも有罪が確定しました」(同・記者)
現金を渡した会社社長は韓国籍の男性だった。山内容疑者は2015年の朝鮮総連本部ビル売却問題の際でも中心的な人物として登場し、大きく報道された過去を持つ。半島との関係が深い印象を受けてしまうが、売却問題に関しては後で詳述する。
文科副大臣にも就任
「山内容疑者は、香川県の不動産会社・マルナカホールディングスの幹部に『格納庫を買って転売すれば儲かる』、『数十億円で売れる』などと吹き込んだそうです。2018年にマルナカの出資を得るなどして合同会社を設立。格納庫を購入しますが、国交省は『承認していない』と、今年になって土地の明け渡しを求める訴訟を東京地裁に起こしていました」(同・記者)
仮にも山内容疑者は元参議院議員である。参議院は「良識の府」と呼ばれているはずだが、まるで土地ブローカーのような行動だ。
仮にも山内容疑者は元参議院議員である。国会議員を「選良」とも呼ぶのは「選ばれたすぐれた人物」(大辞林[三省堂])だからだ。しかし、これではまるで土地ブローカーではないか。
山内容疑者は1946年、香川県に生まれた。69年に早稲田大学教育学部を卒業すると、香川県の企業に就職。しばらくすると、家業の不動産業を継承した。
「1991年から香川県議会議員を2期務めたのち、98年の参議院選挙に自民党と公明党の公認を得て香川県選挙区から出馬し初当選しました。2004年に再選すると、07年には自民党の副幹事長に就任しています」(同・記者)
その後も順調に“出世”を続け、08年には文部科学副大臣に就任した。09年には自民党を離党し、改革クラブ(後の新党改革)に入党。10年9月に行われた参議院選挙には出馬せず、政界を引退した。
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