立民代表選、不発に終わった「泉健太包囲網」… 小川淳也は決戦投票に残る気満々だった
3陣営が泉包囲網で合意
一方の小川陣営も水面下の交渉を続けます。そして代表選前日の11月29日夜。小川陣営、逢坂陣営、西村陣営の代表者が集まり、決選投票に3陣営の誰が残っても、その候補に投票することで合意しました。「泉包囲網」の成立です。小川陣営はこれで「決戦投票で逆転できる」と確信しました。
この合意を巡って小川陣営には、もし逢坂氏が決選投票に残った場合に、刷新感の乏しい逢坂氏に投票することに否定的な意見がかなりありました。しかし「小川氏の2位が揺るがない中で、泉氏に逆転するには合意しかない」と説得して了解を取り付けました。今振り返れば甘い見立てですが、小川陣営幹部は、「議員票での2位は固い上に、1回目の投票では半分を占める地方議員票と党員票で他候補に大きく後れを取ることは考えられなかった」と言います。
小沢氏「人事カードを切るのが遅すぎた」
一方の泉陣営選挙対策本部。夜11時過ぎに小沢元代表がひょっこり姿を現しました。そして一通り情勢分析をした後、こうこぼしました。
「健太は人事カードを切るのが遅すぎたな」
実は小沢氏はこの日の夕方、ようやく泉氏の同意を得て逢坂陣営に幹事長ポストの打診をしていました。しかし交渉は決裂。すでに敗北を意識したコメントでした。
ただ泉陣営には一縷の望みがありました。それは決選投票の相手が逢坂氏になることです。立民の地方議員は旧社会党系が多い上、逢坂氏の地元北海道に多くいます。また逢坂氏は党員数が多い自治労などの労働組合に強い組織票を持っています。地方議員票や党員票の行方はまだ分からないとの見方を持っていました。
もし逢坂氏との決選投票になった場合は、いくら3陣営の合意があっても、清新さを求める議員の票がかなり泉氏に流れると予測していました。泉氏側近議員は「決戦相手が小川氏ならば数票差で競り合い。逢坂氏ならば小川支持の議員票が泉氏に流れて80票を超えて勝利」と話していました。
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