NHKの受信料には法的根拠がない? 判決の根拠を突き崩す事態が続出

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すべてスマホで済ませる時代に

 先日、親戚の若者から話を聞いてびっくりした。テレビ受像機は持っていないという。プロジェクターにファイヤースティック(Fire TV Stick、配信動画を見るためのアマゾンが販売する端末)を挿し込んで、壁に映像を映して見ているという。同じことはモニターにファイヤースティックを挿してもできる。パソコンは持たず、すべてケータイで済ましているという。ということは、「NHKの電波を減衰する装置」イラネッチケーもいらないということだ。

 NHKが金科玉条のごとく盾にしてきた放送法64条1項には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は」とある。動画配信は放送ではなく通信だ。つまりファイヤースティックは電波を受信するための設備ではない。それを挿すプロジェクターやモニターも電波を受信するための設備ではない。これは完全に放送法が適用できない。放送ではないからだ。放送法に基づいて間接的ながら支払い義務を負わせてきた受信料も徴収できないことになる。

 こう言われても、ケータイを持っていればNHKに受信料を払わなければならないという19年3月12日に出た判決結果を覚えている人がいるかもしれない。あれはワンセグという放送を受信できる端末だから出た判決だ。電波を受信しなければ問題ない。

 実際ケータイでも、最近のタイプはワンセグなどを受信しないので、NHKに受信料を支払う必要がないとメーカー自身が宣伝している。

テレビ受像機を買うか

 周知のことだが若者たちはテレビ放送をほとんど、あるいはまったく見ていない。Twitter、LINE、Facebook、Instagram、TikTokの閲覧や投稿にかなりの時間を費やしていて忙しい。見るものもYouTube、Netflix、アマゾン・プライム、U-NEXT、ディズニー・プラスなど動画配信だ。これではNHKはもとより民放の放送番組の入り込む余地はない。

 これまでテレビ放送の長時間視聴者といえば私のような60代以上の老人だった。しかし、私もSNSの閲覧や投稿に忙しく、暇なときに見るものも、YouTubeやNetflixなどでテレビ放送ではない。

 動画配信になれてしまったので、好きな時間に、好きなだけ見ることができ、好きなところで中断し、再開し、巻き戻し、早送り自由でなければ、不便を感じて仕方ない。

 こう感じてテレビ放送視聴をやめているのは私だけではないだろう。

 とすれば、この先、誰がわざわざNHKに受信料を払うためにテレビ受像機を買うだろうか。老年層もプロジェクターやモニターにファイヤースティックで、動画配信を見ることを選ぶだろう。もう受信料もNHKも終わりだ。

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