コロナ感染者激減は、日本人の体質が影響か ウイルスのコピーエラーを起こす酵素の存在
最低限の対策を継続するのが重要
結局、わが身は自分で守るしかない、ということになるのか。その際、心強いのは、日本人の生真面目さと、時には欠点にもなる同調圧力の存在である。AI予測システムを開発した名古屋工業大学の平田晃正教授(医用工学)は、
「マスク等の対策を続けていれば、第6波はそれほど拡大しないと思います」
と予想するが、実際、日本人のマスク着用率は極めて高く、電車内でも、ショッピングセンターでも、マスクを外せば白い目で見られる。いきおいマスクを外せる状況は、なかなか訪れないが、感染が再拡大しているヨーロッパ、特にドイツやイギリスでは、マスクをしている人のほうが少ない。日本人は、この長所を活かすしかあるまい。
「ワクチン接種の効果も持続しており、人出が増える正月でも、東京が1日370人程度で済めば、今後の対策も変わってきます。東京の人流は現在、マイナス20%程度ですが、マイナス10%程度まで増やせることになると思います。あとは3回目の接種も進み、経口治療薬も出てくる。次の第6波が正念場ですが、マスクなどの対策をしっかり続ければ、波とは言えないほど小さくなる可能性もあります」(同)
井ノ上教授も言う。
「私たちがいまできることは、エアロゾルを防ぐマスクの着用と、換気の徹底。加えて距離をとれるとよりよい。そういう最低限の対策を続けていれば、飲食店を閉じようなどという極論は要りません」
ワクチンを過信してはいけない
新潟大学名誉教授の岡田正彦医師も、
「外国ではマスクをしている人が少なく、メジャーリーグなどの興行も、みなマスクを外して応援しています。欧米で起きている感染再拡大の原因はこれだと思います。ワクチンを過信しているのです」
と指摘し、続ける。
「一方、日本人にも、ワクチンを過信して路上飲みやパーティーをする人がいますが、職場や学校、交通機関ではマスクを着け、そこでの緩みはあまり見られません。欧米と日本を分ける大きなポイントです」
そして、ここで緩まなければ、第6波は小さく収まるのではないか、というのが、識者たちの共通した見解である。また、それを続ければ、ほかにも利点が得られるという。
今年はインフルエンザワクチンの供給も遅れて、猛威を振るうともいわれたが、11月8~14日に報告された全国の新規感染者は、28人にすぎない。
「昨シーズンはインフルエンザの感染者が、ゼロに近い数字にまで減少した。言うまでもなく、マスクや手洗いなどの感染対策を徹底したからで、今年もワクチン効果に慢心せず、そうした対策を続けていれば、インフルエンザは流行りようがありません」(岡田医師)
第6波に要警戒だとしても、ミクロの対策を地道に続けることができれば、恩恵は大きそうである。
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