コロナ感染者激減は、日本人の体質が影響か ウイルスのコピーエラーを起こす酵素の存在

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自民党に働きかけ言葉を削除

 ところが、その点に懸念が生じている。11月12日に公表された政府の「新型コロナウイルス総合対策」から、これまで使われていた「幽霊病床」という語句が消えたのである。

「幽霊病床とは、医療機関がコロナ患者用に申告して補助金を得ながら、使われなかった病床のこと。政府内でも今年8月ごろから普通に使われ、岸田文雄総理も当初はこの言葉を明記したうえで“解消する”と言っていたのに、ここにきてすっかり消えてしまいました」(厚労省担当記者)

 なぜかと思えば、やはりあの人物が暗躍していたのである。日本医師会の関係者が声を潜めて言う。

「その言葉が消えた当日、日本医師会の常任理事の一人が、こちらが聞いてもいないのに“中川(俊男)会長が自民党に働きかけ、幽霊病床という言葉が削除された”と、中川さんのお手柄であるかのように話していました」

 事実、この言葉は医師会内部では、評判がよくなかったらしい。

「政府に働きかける前、中川会長は医師会の複数の理事に相談すると、“お前が医師会をダメにしたのだから、やるべきことをやれ”と突き上げられたそうです。また“幽霊病床”という言葉を苦々しく思っていたのは、医師会の会員の多数を占める町医者以上に、全国の民間病院を束ねる全日本病院協会など。実は、中川さんは昨年、会長に当選した際、全日本病院協会の猪口雄二会長を、医師会副会長に迎えていた。そこで医師会の意思に加え、猪口氏らにも忖度し、得意の政治力を働かせた、と医師会内部では見られています」

「『幽霊病床』という言葉を使わないようにお願いした」

 日本医師会に尋ねると、

「風評被害や感染リスクを乗り越え、がんばっている医療現場のためにも、『幽霊病床』という言葉を用いないようお願いした結果、削除されるに至っています」

 と、あっさり認めたのである。東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長の川口浩医師が批判する。

「医師会の言い分は大別して二つあり、一つは、補助金を受け取っている民間病院の多くは、申告通りにコロナ患者を受け入れているというもの。しかし、民間病院が受け入れた患者の多くは軽症で、第5波で問題になった、自宅で急変する可能性が高い中等症患者は、満床などを理由に受け入れ拒否したところが少なくありません。二つ目に、スタッフなどの人材不足を挙げ、空床を正当化していますが、本末転倒です。コロナ患者を受け入れた際の人員や態勢、能力などを勘案し、整備したうえで申請するのが筋で、補助金もそれを担保した病院がもらうべき。かように医師会の言い分には綻びが見えます」

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