「7、8秒のフィルムをやるから、悪役の華を咲かせて死ね」俳優たちに愛された監督・深作欣二の仁義 「仁義なき戦い」外伝〈3〉
公開から半世紀を経てなお愛され続ける実録映画の金字塔「仁義なき戦い」シリーズでメガホンをとったのは深作欣二である。粘りに粘る演出で予算や日程を平気でオーバーする深作に東映の経営陣は顔をしかめたが、「もっとないか」「それだけか」とくたくたになるまで演技の可能性を求めてくる彼を俳優たちは愛した。繁華街で、駅のホームで、小型カメラを駆使したゲリラ的な撮影を繰り返すうちに現場は異様な熱を帯びてくる。貴重な証言と膨大な資料を重ね合わせて綴られた傑作評伝『仁義なき戦い 菅原文太伝』(松田美智子著)から、伝説の映画のリアルな現場を紹介する。...