韓国人が「人生で最も価値があると思うもの」調査で、「物質的な幸せ」をトップにあげた理由

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家の修理を業者に頼んでも工具を持参しない

 ところで、17カ国の中で1・2位に最も多かった回答が「家族」「健康」で、それをあげたのは9カ国にのぼる。17カ国のうち14カ国が、他のどの要因よりも人生で価値があるものとして「家族」をあげた。

「家族」の次に回答率が高かったのは「職業」で、イタリアで43%と最多(イタリアのみ1・2位が同率で家族/職業)。一方、韓国で「職業」を選んだのはたったの6%で、調査国の中で最低の数字だった。

 韓国で働くことに対して誇りや生きがい、こだわりや高い倫理観を大事にしている人はそう多くないということなのだろうか。

 日本から来ると違和感をおぼえる光景に出くわすことがある。韓国ではバスやタクシーの運転手らに会社が制服を支給することはほぼない。社名がきっちり入った配達のオートバイが歩道を走行することは日常の光景だ。「会社の名に傷がつく」といったことは考えないのか、心配になる。

 家の修理を業者に頼んでも工具を持参しないケースもしばしばで、勤務中なのに携帯電話で友達らとオンラインでしゃべっている社員の姿もよく見かける。よく言えば自由、ということになるのだろうか……。

 かねて韓国では若者の就職難が指摘されてきたが、意図的に就職しない若者も少なくない。男性の場合、特に軍隊や留学で就職が遅れがちなのだが、30歳を過ぎても資格取得などを理由に正規職に就いたことがない人も多い。こうした環境で育まれた職業観が今回の調査結果に反映されたとも言えそうだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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