コロナ感染者減少の本当の理由は? 増減は4カ月周期…次回のピークは1月半ばか
ピークだった8月と比較すると……
人流が戻り、飲食店がにぎわいを取り戻しても、感染者数は増えない。専門家たちは原因を、相変わらず人流とワクチンに求めているが、それだけで説明がつくはずがない。ウイルスが激減した理由はほかにある、と考えるほかないだろう。
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ここにきて日本は「ポストコロナ」に向け、急速に舵を切ろうとしている。政府は基本的対処方針を改め、感染を抑えながら社会経済を動かす、ウィズコロナの道を探りはじめた。イベントや飲食の人数制限も、ワクチンの接種証明や陰性証明を条件に、緩和される。
経済を動かすための財源にも余念がない。賛否が分かれる18歳以下への10万円給付を含む、55.7兆円もの財政支出は、前代未聞の大盤振る舞いである。
実際、ウイルスが好む冬が近づいているのに、日本ではいまのところ感染が広がる気配がない。東京都の1日当たりの新規感染者数は、11月22日まで11日続けて30人未満だ。日本全体の感染者数も、11月に入ってからは最も多い日でも250人台で収まり、100人台の日が多い。
第5波のピークだった8月には、デルタ株の猛威を受け、東京都の1日当たりの新規感染者数は6千人に近づいた。そして全国では連日、2万人を超える新規感染者が出たが、それがウソだったと錯覚するほどに静まっている。
ワクチン接種率だけで説明するのは不可能
それにしても、感染者数はなぜ、こうも急激に減ったのか。たとえば、東邦大学の舘田一博教授は「ワクチン接種が迅速かつ集中的に進められた」ことを理由に挙げ、厚生労働省アドバイザリーボードの脇田隆字座長は「人流抑制や会食制限、国民のマスク着用率が奏功した」と述べていた。
しかし、「人流」が減ったというのは、多くの人の実感と、あまりに乖離した見方ではないだろうか。現に会食する人がますます増えても、いま感染者が増える気配はない。
ワクチン接種は効果があったのだろう。現在、日本は2回の接種が完了した人の割合が76.2%(11月22日現在)。G7中の最高値で、初動こそかなりの遅れをとったが、その後は猛烈な勢いで、接種が進んでいる。
だが、世界に目を向ければ、ワクチン接種率が高いのに、感染者が増えている国は多い。アイルランドは2回の接種を終えた人が75.5%と日本並みだが、1日に4千人超が新たに感染している。人口約500万人と、日本の25分の1にすぎないことを考えれば、日本の第5波をはるかに上回る感染規模である。
そうした国を見るにつけ、日本の感染者減を、ワクチン接種率の上昇だけで説明するには、無理がある。
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