【ルポ】ついに判明した国際ロマンス詐欺犯「ジェニファー」の正体 SNSを通じて筆者に語った呆れた言い訳

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1人2役をこなすフランシス

 フランシスは窮状をそう訴え、部屋の中をスマホのカメラ映像で見せてくれた。薄汚れたコンクリートむき出しのワンルームで、扇風機とマットが置かれただけの、簡素な部屋だった。

「ここは電灯がないんだ」

 というフランシスの顔は、日が暮れていくにつれ、少しずつ暗くなっていった。だが、同情は禁物である。

 フランシスは現在、私以外に「ドイツ人男性2人とやり取りしている」と明かす。現金は「受け取っていない」と強調したが、要はまだ国際ロマンス詐欺を続けているのだ。

 ナイジェリアで国際ロマンス詐欺を取り締まる捜査当局、経済金融犯罪委員会(EFCC)の担当者は、詐欺犯たちの属性について、私の取材にこう答えた。

「大半は男性で、20~30代の若者たち。彼らは組織的に動き、インターネットがつながる場所ならどこでも犯行に及ぶ。標的にするのは、未亡人や男やもめ、離婚者などで、時には相手を探している若い女性も対象だ」

 フランシスと話をしながらふと、彼の声には何となく聞き覚えがあることに気づいた。それはジェニファーが荷物を預けたという、架空の国際運送会社の担当者で、「ジョンソン」と名乗る男が話す英語の訛りに、そっくりだったからだ。

 ジェニファーから「荷物を日本に送る手続きをしてほしい」と指示を受けた私は当時、ジョンソンとメールを交わし、搬送手数料の支払いを要求された。その後、ジョンソンと電話で話すことに成功したため、彼の声がまだ耳に残っていた。

「ジョンソンはあなただろ?」

 そう尋ねると、一呼吸置いてフランシスは答えた。

「イエス」

 つまり1人でジェニファーとジョンソンの2役をこなしていたのだ。

「僕は1人でやっている。(犯行)グループに属しているわけではない」

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