【ルポ】ついに判明した国際ロマンス詐欺犯「ジェニファー」の正体 SNSを通じて筆者に語った呆れた言い訳
ジェニファー、変身!
「実は僕、ナイジェリア人なんだ。名前はフランシス。まだ18歳だよ。あなたにやったことすべてに対して申し訳なかった」
その文面に一瞬、目が点になった。ジェニファーが米軍兵士でないことは気づいていたが、女性ですらなかったのだ。「ハニー!」と呼び合っていた相手が突如、「彼女」から「彼」に変身してしまった。
間もなくLINEのビデオ通話に場が移ると、そこには短いチリチリ頭の黒人の若者が映っていた。彫りが深くいかつい顔立ちだが、私の顔を見るなり白い歯を見せて笑うその表情には、まだあどけなさが残っていた。私の脳裏には、胸元を強調したジェニファーの美ボディーが焼き付いていただけに、対面した「実物」とのギャップにまず度肝を抜かれた。
「元気にしているかい?」
フランシスからそう問い掛けられ、私たちは会話を始めた。
時間は日本の午前1時過ぎ。東京から西に、飛行時間にして約20時間離れたナイジェリアは前日の午後5時過ぎだった。
早速、私のほうからこう切り出した。
「今年の3月からフェイスブックとLINEでやり取りを続けたが、あなたの手口は間違いなく詐欺だ」
フランシスはうなずいてから小声で、「申し訳なかった」と再び詫び、こう言葉を継いだ。
「この国の経済情勢が悪いから仕方ないんだ。仕事もない上に、政府もダメだ」
自国の貧困が原因で、犯行に及んだ事実を認めたフランシス。現在、ナイジェリアの最大都市、ラゴスのアパートに1人で住んでいるという。東京より多い人口を抱えるラゴス(推計約2千万人)は、同国南西部に位置し、ギニア湾に面した港町である。
「大学で法律の勉強をしたいけど、お金がない。今は、週3日のペースで清掃の仕事をしているよ。日当は1日、千ナイラ(約275円)。両親はいるけど、父は病気で仕事をしていない。母は農民だ。僕のほかに姉妹が6人いて、うち1人は仕事をしているけど、あとの5人は学生だ。貧しい家庭なんだ」
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