国内屈指のホワイトハッカーが警鐘 ガラパゴス化する日本のサイバーセキュリティ

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復旧させる代わりに金銭を要求するウイルス

〈守井浩司氏が代表を務めるレオンテクノロジー(本社・東京)は、言うなればホワイトハッカー(サイバー攻撃からの防御策を講じる専門家)の集団だ。大手金融機関や運輸関連の企業をはじめ、業種を問わず幅広い顧客を持ち、日々、グローバルなセキュリティサービスを提供している。守井氏によると、ここ数年で最も相談が多いサイバー攻撃は「マルウェア」を利用したものという。

 マルウェアとは「不正に有害な動作を行う、悪意をもって作られたソフトウェアやコード」の総称で、「ウイルス」「ワーム」「トロイの木馬」「スパイウェア」「キーロガー」「ボット」などがそれに当たる。中でも近年、世界中で大きな被害をもたらしているのが「ランサムウェア」と呼ばれるものだ。

 これは「身代金(Ransom)」と「ソフトウェア(Software)」を組み合わせた造語で、コンピュータを機能不全に陥らせ、それを復旧させる代わりに金銭を要求するウイルスの一種。独特な名前は、誘拐犯が人質と引き換えに金銭を要求する手口に似ているからである。〉

五輪のドローンもハッキングの対象になり得た

 この手法で世界中の個人や企業から金銭を要求するハッカーたちにとって、先の東京五輪は自分たちの存在や技術の高さを世界中にアピールする格好の“舞台”でした。実際に、多くの組織や企業が先のオリンピック・パラリンピックの開催に乗じた攻撃の被害に遭っています。

〈世界中のハッカーたちは、東京五輪を利用することを計画していたという。およそ数十億人が視聴する一大イベントである五輪は、ハッカーにとっても自らの力量を喧伝できる打ってつけの機会だからだ。守井氏はネットワークやシステムの停止だけでなく、物理的な攻撃が実行されることも懸念していた。〉

 東京五輪では開会式のほか、サーフィンやスケボーなどの競技会場でもドローンが活用されました。数十台のドローンがパフォーマンスをしたり、競技を空撮するなど大活躍でしたが、とくに撮影用のドローン一式は、1台で16キロもの重量があります。ドローンには、位置情報を撹乱するような攻撃であるGPSスプーフィングなどのハッキング手法が懸念されており、その動きが乗っ取られれば、競技を妨害するだけでなく、選手や競技関係者の頭上に落下させることも可能でした。

 ドローンのプロペラはかなりの高速で回転しているので、人間の指くらいは簡単に切り飛ばしてしまいます。本体の直撃を免れても、プロペラが人間の身体に接触しただけで大ケガは避けられません。そのドローンも、ハッカーたちの攻撃対象になり得たのです。

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