大口病院・元看護師の無期懲役、専門家「判決文に違和感」 結論ありきの判決か
犯罪被害者に絶望を、凶悪犯罪予備軍たちには希望を与えてしまう、罪深い判決である。大口病院「白衣の殺人鬼」に下された、無期懲役判決。
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「身勝手な動機で罪のない人を殺しておきながら死刑にならないのはおかしい」
判決後、そうコメントしたのは、被害者の一人・八巻信雄さんの長男である。
事件を振り返ると、横浜市の大口病院で患者の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入し、3名を死に至らしめたのは、看護師として勤務していた久保木愛弓(あゆみ)被告(34)。「勤務時間中に患者の死亡対応をしなくてすむように」という、人の命を蠅や蚊と同一視するがごとき動機である。
同院では3名の他にも同じ階の入院患者に不審死が相次ぎ、その数は3カ月で48人に上っていた。証拠がないため立件できたのは3件に過ぎないが、それ以外も久保木による犯行が疑われたのは周知の通りだ。
横浜地裁で行われた公判では、責任能力の有無が争点に。検察側は「完全責任能力」があるとして死刑を求刑、弁護側は統合失調症で心神耗弱状態だったとして無期懲役を求めた。
9日に下された判決は完全責任能力を認めながらも、彼女の動機形成過程には「いかんともしがたい事情」があり、また「更生可能性もある」として、まさかの無期懲役と相成ったのだ。
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