プロ野球に必要な改革は「CSの廃止」と「外国人枠の撤廃」 ショボい日本から脱却するために(中川淳一郎)

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 おいおい! セ・リーグ2位の阪神タイガース、クライマックスシリーズ(CS)で3位の巨人に2連敗して敗退。このシステム、もうやめませんか? シーズン後半の「消化試合」を減らすための策だったのですが、完全にリーグ優勝や2位の価値を減らしています。阪神は今年序盤は優勝する勢いでしたが、とにかくCSでは毎度弱い。どうせ巨人に負けるのは分かっていましたが、やっぱり負けた。

 多分、CSという「上位3チームが日本シリーズを争う」制度ではなく、JリーグのようにJ-1とJ-2的なNPB‒2を8球団作り、セ・パ両リーグの最下位球団が下部リーグの上位2チームとトーナメントをしてそこで勝った2チームが残留・昇格する、とした方がいいと思います。

 CS制度については、現在の12球団ではあまりにも意味がない。なにしろ50%の球団が参加できるのですから。10月下旬まで体力を温存し、最後に本気出す、という勝負が本当の勝負ですか? MLBのように30球団もあるから可能なのがプレーオフ制度なのです。

 それなのに、「時の運」やら「なぜか短期決戦に強いチーム」が勝つのが日本のプロ野球のCSです。どう考えても「上位50%に入れば12球団中1位(8.33%)に入れる可能性がある」というシステムはおかしい。

 さて、野球改革について、専門家でもない私はガンガン提言をする。まずは外国人枠の撤廃です。別に1番から9番まで全員外国人でもいいではありませんか! 大相撲だって横綱・大関陣はモンゴル人だらけだった。こんなもん、慣れですよ。

 さすれば、ドミニカ共和国やプエルトリコや韓国や台湾の若き給料の安い逸材を発掘できるかもしれない。もしかしたら凄まじい能力のロシア人でさえいるかもしれない。こうした選手を大量に年俸450万円とかで抱え、翌年いきなり5千万円! その翌年は2億円! みたいな感じにすると、日本という国の魅力が再び増すわけです。

 正直、今の日本はまったく夢がない。ひたすらケチで貧乏に徹して、国民の一番好きなものが「クーポン」という情けない状態になっている。だから携帯電話会社が牛丼を1杯タダにするキャンペーンをやると大行列ができるんですよ。

 こうした「ショボい日本」から脱却するにはとにかく外国人野球選手の力を借りて「ジャパニーズドリーム」を達成していただく必要がある。そうすれば彼らはその後MLBに渡り、そして34歳ぐらいになった時に再び日本に戻ってきて3割1分2厘、33本塁打、102打点、みたいな成績を残すスター選手になってくれるのです。

 とにかく規制緩和ほど経済を成長させることはないのに、一体日本の野球界は何をやっておるのだ! まずはCSを廃止し、下部リーグとの入れ替え制にし、外国人選手の人数制限をなくせ! これをやるだけでかなり日本の空気は明るくなります。阪神がCSから撤退した今、私も、そして関西の方々も、もう本当に気分がドヨーンとしていることでしょう。とりあえず、優勝できなかったショックはありつつも、まさかの3位球団に負けるとは、というのは、大きな気持ちの落ち込みをもたらします。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2021年11月25日号掲載

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