小沢ガールズ「太田和美」が柏市長に…次々地方に転出する「元民主党議員」の絶対に有権者には言えない胸の内
迷走の象徴だった太田
当時の民主党は、いわゆる「偽メール事件」で支持率が低迷していた。太田の勝利は支援者に“民主党のジャンヌダルク”と歓迎された。
2009年8月の総選挙で、民主党は政権交代を成し遂げた。だが、有権者は次第に失望感を強め、2012年12月の総選挙で自民党に敗北。政権の座を譲る。
下野して野党となった旧民主党の混乱を象徴するかのように、太田も迷走を重ねた。
「2012年7月に民主党を離党し、小沢さんの『国民の生活が第一』に参加しました。しかし、同年12月の総選挙では落選。翌13年の参院選では千葉県選挙区に生活の党から出馬しましたが、これも苦杯をなめました。14年の総選挙では維新の党から千葉8区に選挙区を変えて出馬。小選挙区では敗れたものの、辛うじて比例代表で復活当選を果たしました。その後は民進党から希望の党と政党を移りましたが、17年の総選挙では比例復活も果たせず落選しています」(同・記者)
18年には希望の党が解党。太田は20年2月、れいわ新撰組から千葉8区に立候補すると発表した。
「ところが21年8月、当時の柏市長が次期市長選への不出馬を表明しました。すると太田さんは翌月、衆院選への出馬を取りやめ、れいわ新撰組も離党して市長選に挑む考えを明らかにしました。その結果、総選挙と同日に行われた柏市長選で太田さんは、れいわ新選組や古巣の立憲民主党だけでなく、共産党や市民団体の支援も受けて勝利を収めたのです」(同・記者)
旧民主党政権が終焉を迎えると、四分五裂した野党が看板だけを掛け替え続けた。太田の政治活動も、それと軌を一にしたと言える。
民主党政権の悪夢
永田町関係者は「普通は地方議員から国会議員に転じるものです。その逆は極めて珍しいと言わざるを得ません」と戸惑いを見せる。
「仮にも国政を担っていたのですから、知事になるというのなら理解できます。かつて石原慎太郎さん(89)は東京都知事を務めました。民主党の衆議院議員だった三日月大造さん(50)も現職の滋賀県知事です。大都市の市長というポストも、同じだと考えていいかもしれません。1972年から86年まで福岡市長を務めた進藤一馬さん(1904~1992)は自民党の衆議院議員から転じました。現職なら名古屋市長が河村たかしさん(73)です」
ところが近年は、比較的小規模の自治体の首長や、県議や市議といった地方議員に、落選中の旧民主党の国会議員が転じるケースが目立つ。
旧民主党の国会議員が首長選や地方議会選に当選した時期を調べてみると、2015年の県議会などの選挙で目立ち始め、18年に行われた市長選では5人が当選した。いわゆる“安倍一強”と言われた政治状況との関係は明白だろう。
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