大阪のオバちゃんが会社社長から奪った「カネ・家・命」 一人で経理を担当し11億5000万円着服
借金を苦に
岸田は返済の証拠がないことを逆手に取り、累計5000万円もの貸し付けが残ったように装ったのだ。会社は、銀行からの借り入れ5億円、税金や社保の滞納分2億5000万円を抱えていた。そこにウソの借金5000万円が重くのしかかった形である。
良和氏は社長就任からわずか3年で、借金を苦にして自ら命を絶ってしまう。言うまでもなく岸田の横領が原因だ。にもかかわらず、彼女は借金のカタに良和氏の自宅を奪い、残された妻子をしばらく住まわせていたものの、そのうち第三者に売却してカネに変えてしまった。
正和社長が経営を担うようになり、横領女の命運が尽きる。領収書の改竄や従業員の給与を水増しして差額分を着服するといった岸田の手口を見破ったのだ。
兵庫県警による捜査の結果、16年にわたる勤務期間で岸田の着服額は11億5000万円にのぼった。そのうち、ブランド品や宝石、家具などのそごうでの買い物が7億6000万円。ほかにも北海道ニセコに建てた別荘の建築費、交通費、飲食費等々、何から何まで会社から流用したカネをまわしていた。
結局、岸田は16年に懲役6年の判決を受けている。
「週刊新潮」2019年8月29日号「MONEY」欄の有料版では、岸正和社長の証言を詳報する。
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