「林外相」に落ち着くまでの「岸田」「安倍」「麻生」「茂木」の水面下の暗闘

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“松本はどうか?”

 10月31日投開票の総選挙において小選挙区で落選した甘利明氏(72)が幹事長を辞任。後任に外相だった茂木敏充氏(66)が就任し、棚ぼたでお鉢が回ってきた林芳正外相(60)。ここに至るまでには岸田文雄首相(66)、安倍晋三(67)・麻生太郎(81)の両元首相、そして茂木氏の間で暗闘が繰り広げられていたという。

 茂木氏が幹事長に就任したのは11月4日。その直後から岸田首相は安倍、麻生の両氏に電話をかけ、「林外相」案について理解を求めていた。

「その中で岸田さんは林さんを一番手に、そして小野寺五典元防衛相を二番手として打診していました。いずれも自身が会長を務める宏池会のメンバーです。これに対して麻生さんは、“松本はどうか?”と返したと言います」

 と政治部デスク。「松本」というのは緊急事態宣言中に銀座のクラブへ繰り出したことをきっかけに離党し、先の総選挙で落選した麻生氏の右腕・松本純元国家公安委員長ではもちろんなく、松本剛明元外相(62)を指す。

“林さん以外ならいいのではないか”

 松本氏は兵庫11区選出の衆院議員で当選8回。民主党の菅内閣時代に外相を務めたことがある。2015年に民主党を離党し、自民党に加入した。

「母方の祖母が伊藤博文の孫で、父親は防衛庁長官経験者というサラブレッド。本人も東大法学部を卒業して興銀に入り、父の秘書官などを経て政界に打って出ました。野党時代の民主党では当選3回で政調会長を務めたことからも、外交・安全保障の政策通というのが衆目の一致するところ。血筋の良さが共通項ということもあるのでしょうか、麻生さんはかなり目をかけてきたようです」(先のデスク)

 ひとまず持ち前の「聞く力」を発揮し、麻生氏の思いを受け止めた岸田氏。続いて安倍氏の反応はどうだったか。

「“林さん以外ならいいのではないか”ということでした。とにかく安倍さんは林さんのことが気に入らないのです」(同)

 山口県内では先代、つまり安倍晋太郎氏と林義郎氏の間で勢力争いが続いていた。加えて、次回の衆院選では山口県の定数が1減ることが想定され、現職4人のうち1人が居場所を失う椅子取りゲームの様相を呈している。

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