「だしのプロ」が明かすダイエット効果 香りが脳の報酬系を刺激して満足感が

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 和食はなぜヘルシーなのか。この問いを突き詰めていくと、だしに行き当たる。そして、だしを飲むと痩せる、あるいは「ホッとする」メカニズムは、実験によってすでに解明されているというのだ。龍谷大学農学部の山崎英恵教授による「教養としてのだし」講義。

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 私が「本物のだしを味わうことは教養である」と言うのは、ワインを例にとると分かりやすいかもしれません。ワインには高いものから安いもの、良いものから普通のものまで、さまざまありますが、それらの味を知っておくことにより、味わいの経験が深まります。教養というのはなくても生きていけますが、あると人生をより豊かにしてくれると思うのです。

〈「だし研究」に携わってきた山崎教授は、2008年から6年間にわたり、「本物のダシを味わうことは教養である」という食育プログラムを京都大学で実施してきた。〉

 その講義では、だしって何だろうということをまず説明します。例えば、かつお節づくりは、水揚げしたかつおをさばいて煮熟(しゃじゅく)する(湯がく)ところから始まります。その後、いぶしながら乾燥させ、燻製にします。そこで完成するのが「荒節」です。これは1カ月もかからずに出来上がります。血合いが残っていることもあり、かなりガツンとかつおの香りがします。その荒節にカビ付けをして、水分を抜き、タンパク質や脂肪を分解させて、よりまろやかな味になるように仕上げるのが「枯節」です。京料理で使われるだしはほとんど枯節です。

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