羽生結弦のケガは軽傷? 専門家が分析、12月の全日本選手権で復活か
モチベーションが高い
そもそも右足関節靱帯損傷とは、どんなケガなのだろうか。とだ小林医院副院長で整形外科医の小林慎一郎氏が説明する。
「わかりやすく言い換えれば、右足首の靱帯が傷つけられたり損なわれたりしたケガ。足関節靱帯損傷はほとんどが、着地の際に強い負荷がかかって、足首が内側にひねられた結果、外側の靱帯が引っ張られて損傷するケースです」
損傷の程度だが、
「3段階で表され、大まかに言えば、1度が伸びてしまった状態、2度は一部が切れた状態、3度はほとんど切れてしまっている状態。予測は難しいですが、羽生選手が発表したコメントを読むかぎり、重傷にはなっていないのではないか。個人差もありますが、損傷の程度が1度なら、スケートのような負荷の強いスポーツができるまで2~3週間、2度だった場合は3~6週間ほどかかるでしょう」
ちなみに、羽生選手のくだんのコメントとは、〈痛みをコントロールしながら氷上でのリハビリをし〉というもの。スポーツライターの折山淑美さんは、
「このコメントを発表したのであれば、推測にはなりますが、今回のケガの程度は、松葉杖なしには歩けなかった平昌五輪の前にくらべ、軽傷で済んでいるのではないでしょうか」
と、期待を寄せる。
「そう考えると、今回は北京五輪に向けて早めに治療を終え、スケジュールに余裕を確保できる可能性が高いといえるでしょう。当面の目標は、12月22日開幕の全日本選手権で、私はさほど悲観していません。報道を含め、北京五輪が絶望的だという雰囲気にはなっておらず、概ね周囲は、全日本に間に合わせてくると見ています。現在、羽生選手は、アスリートとして脂が乗り切ったピークの状態。だれも成功していないクワッドアクセル(4回転半)に挑戦していることからもわかるように、モチベーションも高く維持されている。本人も“最終目標は五輪の金メダルではなく、4回転半を成功させること”と言い切っている。選手として限界を超えることに、意識が向いているんです」
北京で4回転半ジャンプを決め、結果は金――という望みも、まだありそうだ。
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