神戸5人殺傷事件、2回目の鑑定は5分程度 「精神鑑定」は犯人の意のままになる?

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数年で病院から出てくることも

 むろん、統合失調症の患者が凶悪犯罪を起こすケースはまれで、偏見は慎むべきである。しかし、少なくとも完治しない以上は、一度凶悪犯罪を起こした人間が、簡単に無罪になっていいものなのか。

 前出の記者によれば、控訴されるのはほぼ確実だが、新証拠がないかぎり、一審の「心神喪失」の判断が維持されそうだという。そして無罪が確定すれば、

「心神喪失者等医療観察法に基づき、入院等の措置がとられると思いますが、具体的な治療手段は法に書かれておらず、期間に上限や下限もない。医師が治ったと判断すれば退院することになり、裁判所は関与できません。一般に短いと感じられても、数年で出てくる可能性もあります」

 と前出の高橋氏。しかも医療観察法には、処遇が決まった加害者の情報を、被害者側に伝える規定もない。完治しないまま野に放たれた加害者が、いつの間にか被害者の近くに舞い戻っていた、ということも、理論上はありうるのだ。

「心神喪失と判断された人が、また罪を犯す可能性は、少なからずあるのですから、場合によっては、入院させたら一生出さない、といった措置も必要だと思います。医療観察法の改正も一つの方法でしょう」(同)

 善悪の判断がつかずに人を殺してしまう人ほど、怖い存在はないのに、そういう人ほど無罪放免になる。そんな矛盾もあるまい。

週刊新潮 2021年11月18日号掲載

特集「精神鑑定は正しいのか!? 『神戸5人殺傷』無罪なら『妄想殺人者』が野に放たれる」より

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