神戸5人殺傷事件、2回目の鑑定は5分程度 「精神鑑定」は犯人の意のままになる?

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 4年前、無辜の人々が突然襲われ、3人が落命、2人が重傷を負った神戸の事件。だが判決は無罪。心神喪失とした精神鑑定が受け入れられたのだが、実は鑑定は、かなり被告の意のままになる。結果、「妄想殺人者」が野に放たれるなら、こんなに怖いことはない。

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 今月4日、無罪判決が言い渡されると、巻き添えになった被害者の遺族らは報道陣を前に、「絶望」を口にした。現場で起きたことを知れば、その言葉に得心しない人はいないだろう。

 2017年7月16日。祖父母、母親と4人暮らしの竹島叶実(かなみ)被告(30)は、金属バットや包丁で祖父母を殺し、止めに入った母親にも重傷を負わせたうえ、近所の民家で目についた女性を包丁で刺殺。別の女性も深く傷つけた。すなわち3人を殺害、2人に重傷を負わせたのである。

 ところが、神戸地裁での裁判員裁判で言い渡された判決は「無罪」。飯島健太郎裁判長は、「被告は(刑事責任能力が認められない)心神喪失状態だった疑いが残る」と述べた。取材を重ねてきた地元の記者が、ここに至る経緯を説明する。

「竹島被告は事件の前年から引きこもり始め、同時期に連想癖が生じ、あるマンガに隠された暗号を解いて宝くじを当てる作業に没頭したとか。また株で稼ごうとし、株関係のネット掲示板で見た数字13に、元中日の岩瀬投手の背番号13が思い浮かび、続いて高専時代の同級生で、出席番号13だった女性を連想したそうです。事件前日、この女性の“神社に来て”という声が聴こえ、行けば結婚できると思い、礼服を着て神社に行っています。そしてその晩、その女性の“この世界の人間は、君と私以外は哲学的ゾンビなんだよ”という声を聴き、結婚への試練だと思い込んで、犯行に及んだとのことです」

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