ヤクルト、リーグ優勝したけれど…来季以降は「絶対大丈夫」といえないチーム事情

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メジャーでのプレーは自然な流れ

 野手陣はどうか。山田哲人と村上宗隆というリーグを代表する強打者を揃えているのが何よりも大きな強みだが、こちらも決して安心していられる状況ではない。近い将来、大きな問題として降りかかってくるのが、村上の「メジャー移籍」である。

 まだ、本人は特に意思を表明していないとはいえ、昨今の球界の流れを考えると、国内で打撃タイトルを獲得して、東京五輪などの国際舞台でも成績を残したとなれば、次はメジャーでのプレーを考えるというのは自然な流れといえる。

 先日、広島の主砲、鈴木誠也がポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指すことを表明した。鈴木や村上クラスの選手となると、国内FA権を取得する前に、ポスティングを申請するのが一般的となっている。

 村上が国内FA権を取得するには、あと5年間、一軍でプレーをすることが必要となる。その前年に、ポスティングを申請すると考えても、あと4年。今後の成績次第では、さらに移籍が早まる可能性も否定できない。

「ポスト村上」の備えが課題

 そうなると、村上に次ぐ大砲候補が必要となる。しかしながら、ここ数年のドラフトでは投手を優先した影響もあって、村上以外に1、2位のドラフト上位で指名した大砲候補は、広岡大志(15年2位)と中山翔太(18年2位)のみだ。広岡は既にトレードで球団を去り、中山は二軍ですら、結果を残すことはできていない。二軍で活躍した野手の顔ぶれを見ても、リードオフマンタイプばかりであり、「ポスト村上」の備えは大きな課題と言えるだろう。

 高津臣吾監督が選手に対して繰り返した「絶対大丈夫」という言葉はチームを団結させるうえで大きなキーワードとなった。だが、来年以降のことを考えると、「絶対大丈夫」とはとても言えない状況である。高津監督とヤクルト球団が、野村克也監督時代のような常勝軍団を作るために、どのような動きを見せるのか……このオフの動向に注目していきたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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