ヤクルト、リーグ優勝したけれど…来季以降は「絶対大丈夫」といえないチーム事情

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規定投球回数に到達した投手はいない

 阪神とのデッドヒートを制して6年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしたヤクルト。2年連続最下位からの優勝は見事だが、来季以降も強さが継続するかと問われると「イエス」とは言い難い。

 まず気になるのが、成績の乱高下が非常に激しい点だ。2010年以降のシーズン成績を改めて見てみると、連続でAクラス入りを果たしたのは11年からの2年間だけ(2位→3位)。前回優勝した15年も翌年は5位に沈み、18年に2位に浮上した後は2年連続で最下位に沈んでいる。こうした流れから考えると、来シーズンは再びBクラスに転落すると考えるのも自然と言えるだろう。

 もちろん、不安要素は過去の成績だけではなく、現在の戦力や編成を見ても気になる点は多い。何よりも大きな課題は、投手陣だ。今季のチーム防御率は、昨季から1点以上も改善し、リーグ3位の3.48をマークしたが、規定投球回数に到達した投手はいなかった。

ドラフトで獲得した投手の伸び悩み

 一方、リリーフ陣は、清水昇が72試合、マクガフが66試合、今野龍太が64試合、石山泰稚が58試合とフル回転の奮闘を見せたものの、来季はいずれも“勤続疲労”が非常に心配される。実際、優勝から5位に転落した16年と、2位から6位に転落した19年は、前年、フル回転したリリーフ投手陣が軒並み成績を落とし、その影響がチームの低迷に直結してしまった。

 ちなみに、前回2位に躍進した18年に50試合以上登板した投手で、現在も戦力となっているのは石山だけだ。近藤一樹と風張蓮は相次いで退団し、中尾輝も今季限りで自由契約となった。中継ぎ投手の酷使は、ヤクルトだけの問題ではないが、特に目立つ球団の一つであることは間違いない。

 投手陣のコマ不足は、今に始まったことではなく、もちろん球団もあらゆる補強をしてある程度の効果は出ている一方で、数年後の顔ぶれを考えるとまだまだ不安と言わざるを得ない。

 特に気になるのが、ドラフトで獲得した投手が伸び悩んでいること。高校卒2年目にしてエース格へと成長した奥川恭伸と、不動のセットアッパーとなった清水昇の存在は極めて大きいが、それ以外に主力となった選手は見当たらない。過去2年間のドラフトでは、5人の大学生投手を獲得しているが、一軍の戦力と言えるのは大西広樹のみ。他球団のルーキーが多く活躍したのに対して、昨年のドラフト1位の木沢尚文、2位の山野太一は二軍でも結果を残せていないのだ。

 入団して1、2年の選手が伸び悩んでいるのであれば、それほど気にならない。だが、それ以前に主戦として成長することを期待してドラフトで獲得した選手が軒並み一軍の戦力になっていない。竹下真吾や原樹理、寺島成輝、星知弥、大下佑馬、蔵本治孝といった面々が、それに当たる。球団側は、スカウティングと育成について、改めて見直す必要があるのではないか。

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