「天下一のイケメンと一度でいいから……」中世の寺社に書かれた落書きは、なぜ男性同士の恋愛願望についてばかりなのか?
世の中には、落書きに寛容な人もいれば、寛容ではない人もいる。日本人は圧倒的に後者だろう。ドイツやイタリアの大聖堂で日本人学生の落書きが発見され、国内で大バッシングが起きたことは記憶に新しい。
しかし、場所や時代が変われば、価値観も大きく変わる。じつは中世の日本人は、落書きに寛容だった。寺社への落書きは日常茶飯事で、当時の絵巻を見ると神社に落書きする人々も描かれている。
では、なぜ人々は寺社に落書きをしたのか。そして社会はなぜそれを許容したのか。現代人には想像もつかない、室町時代の人々の行動様式を生き生きと描いて話題を呼んでいる清水克行著『室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界』より一部抜粋・再構成してお届けする。...