共産党との関係を解消しない限り政権交代は不可能か 立民が支払った代償とは
小沢王国の崩壊
続いて、比例復活したものの小選挙区での18回連続当選を逃した“剛腕”小沢一郎氏の選挙戦に目を転じてみよう。
永田町の“壊し屋”は、しかし、地元・岩手では鉄壁の「小沢王国」を築いてきた。そんな小沢氏が公示日当日にお国入りしたのは「初当選した69年以来ではないか」(地元市議)。
かつてない緊張感のなか迎えた出陣式では、共産党の穀田恵二国対委員長からのメッセージが読み上げられたという。穀田氏は小沢氏のお膝元である奥州市(旧水沢市)の出身だ。地元の政界関係者が振り返る。
「小沢さんが出馬した岩手3区には4市3町が含まれますが、得票で自民の対抗馬・藤原崇さんを上回ったのは奥州市のみ。しかも、その票差はわずか4500票という惨憺たる内容でした。藤原さんの事務所には、連合や国民民主党の関係者までお忍びで応援に駆けつけていた。保守色の強い土地柄、共産党との連携が小沢さん離れを招いたのも間違いない。来年の参院選でも似たような構図が繰り返されるのではないか……」
そうした危惧は、すでに現実味を帯びつつある。
次期参院選で与党が圧勝か
時事通信は総選挙の結果に基づいて、次期参院選の獲得議席数を試算。全国で32を数える1人区のうち、実に30選挙区で与党勝利と、野党を圧倒している。
先の伊藤氏が続けるには、
「共産票の上積みによって、立民が小選挙区で議席を増やしたのは事実です。ただ、選挙での当選という利益に目が眩み、“左傾化”“共産化”というイメージがついた代償は大きい。共産党と組んだことで、とりわけ比例で中道・保守層の票を失いました。しかも、立民は選挙前に共産や社民党、れいわ新選組と“消費減税”などについて政策協定を結び、自分たちが政権を取った場合には、共産党が“限定的な閣外協力”を行うことにも合意した。中間層が忌避するには十分な内容で、要は、立民が“踏み込みすぎた”のです。今後、立民が二大政党制や政権交代を見据え、本気で自民と拮抗する勢力を目指すなら、共産党との関係がプラスに働かないことは明らかになったはず。このままでは幅広い層から支持を得ることは難しいという現実を突きつけられたのですから」
すでに国民の玉木雄一郎代表は、立民や共産との国会運営における協力関係を解消した。
だが、当の志位和夫・共産党委員長だけは「方針そのものは正確だったと確信を持っている。そういう点で私は責任ということはないと考えている」と述べ、辞任を否定している。
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