京大には「最速152キロ」投手が登場 東大、和歌山大…国立大が“プロ予備軍”相手に善戦中!

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結果を残せた東大、進路に影響

 慶応大の春秋連覇で幕を閉じた今年の東京六大学野球だが、例年以上に存在感を見せたのが東大だ。春のリーグ戦で、開幕カードとなった早稲田大戦では5対6、0対0と2戦続けて接戦を演じると、最終戦の法政大戦は2対0で勝利し、2017年秋から続いていた連敗を64でストップさせた。しかも、この時の相手投手は、今年のドラフト会議でヤクルトに1位で指名された山下輝であり、非常に価値が高いといえる。

 続く秋のリーグ戦では、2カード目の立教大戦で中盤以降7点を奪って7対4と快勝。その後は大敗する試合があったものの、最終カードとなった法政大戦では投手陣が踏ん張り0対0の引き分けに持ち込んだ。以前に3勝をあげた2017年の秋リーグは、宮台康平(ヤクルト)という絶対的なエースの存在が大きかったが、今年はそのような飛び抜けた選手がいるわけではなく、チーム力の向上によってつかみとった勝利だった。

 プレーのレベルが上がっていることはもちろんだが、もうひとつ大きな変化を感じるのが選手の野球に対する意識だ。先日、公表された4年生部員の進路を見てみると、奥野雄介(三菱自動車倉敷オーシャンズ)、井上慶秀(三菱自動車岡崎)、高橋佑太郎(高知ファイティングドッグス)が、社会人野球と独立リーグでプレーを継続する予定だ。

 このほか、学生コーチとしてチームの分析を担当した斎藤周は、平均年収1700万円台という工場センサー大手「キーエンス」の内定を断り、ソフトバンクホークスの「ゼネラルマネジャー付データ分析担当」として引き続き野球に携わっていくという。“プロ野球選手予備軍”のような選手が多く所属するチームを相手に、東大が結果を残せたことが、進路に影響を与えたことも大いに考えられる。さらに、彼らのような人材が輩出されたことで、現役部員やこれから入部してくる選手の意識も高まり、チームのレベルアップに繋がることも期待できそうだ。

プロのスカウトも視察

 私立の強豪チームを相手に結果を残している国立大学は、他にもある。東の東大と並ぶ存在と言える京大(関西学生野球連盟)もその一つだ。19年の秋リーグ戦には同志社大、関西学院大から勝ち点を挙げるなど5勝7敗で、初のリーグ4位へと躍進した。

 今年の春のリーグ戦は0勝10敗に終わったものの、秋のリーグ戦は関西学院大、近畿大から勝ち星をあげて、健闘を見せている。17年からはソフトバンクで投手としてプレーした近田怜王がコーチに就任したこともあって、力のある投手が増えた。ちなみに、近田は2020年9月から助監督に就任して、さらなるチームの強化に取り組んでいる。

 京大の選手のなかで、今年ブレイクしたのが3年生の水口創太(膳所)だ。194cmの長身から投げ下ろすストレートは、秋のリーグ戦で最速152キロをマークした。これは、京大の投手としては初となる150キロ超えと言われている。コントロールはまだ不安定とはいえ、カットボールやフォークなど変化球も面白い。既にプロのスカウトも視察に訪れており、田中英祐(元ロッテ、14年ドラフト2位、退団後は三井物産に就職)に続く、京大からのプロ野球選手誕生も期待できる素材と言えるだろう。

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