「脱炭素」で得するのは中国だけ? EVの原材料は中国頼り、550万人の雇用も崩壊
カーボンニュートラル。聞こえはいいが、それで国が貧しくなっては本末転倒である。電気自動車、太陽光パネル、風力発電。「脱炭素」という世界的な潮流に追随して、富み栄えるのは中国ばかり。ならば、日出づる国から昇った技術力という“日”が傾く先は――。
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日本の政治家がイマイチ盛り上がりに欠ける衆院選に現(うつつ)を抜かしている間隙を縫って、かの国は着々と外堀を埋めようとしている。
8月に中国が核弾頭を搭載することのできる極超音速ミサイルの発射実験を行ったとイギリスのフィナンシャル・タイムズが10月16日付で伝えた。さらに、先月18日には、中国とロシアの艦艇10隻が津軽海峡を通過、日本を半周するような航路をとり、22日に鹿児島県の大隅海峡を東シナ海へと抜けた。
「中国とロシアが緊密に連携しながら、海峡を通過することは珍しい。日本が10月にアメリカ、イギリスなどの空母と共同訓練を行ったことへの示威行動と思われます」(防衛省担当記者)
沖縄県の尖閣諸島では相変わらず、中国海警局の船舶が連日のように航行している。日本への軍事的圧力を強める中国。しかし、日本が警戒すべきはそれだけではない。経済でも覇権を握ろうと歩を進めているのだ。
舞台は「脱炭素」。国際エネルギー機関(IEA)は先月、世界全体で二酸化炭素排出ゼロにするには、年間4兆ドル(約450兆円)の投資が必要だ、と明らかにしている。その巨大市場を巡る神経戦がすでに始まっているのだ。
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