コロナを好機として「ハコ」から脱却する――隈 研吾(建築家)【佐藤優の頂上対決】
近代は、人間をオフィスや学校、個人住宅といった「ハコ」の中に閉じ込めた。それはある時期まで効率的だったが、いまやデジタル技術によって、人々は同時に同じ場所にいる必要はなくなった。こうした時代に求められるのは、どんな建築か。新国立競技場の建築家が提唱するのは「小さな建築」である。
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佐藤 建築は哲学に近接した領域にあり、非常に思索的な仕事です。東京2020オリンピック・パラリンピックの主会場となった国立競技場の設計に携わった隈先生が、1964年と今年の東京大会は断絶している、と発言されてきたことは、非常に大きな意味がある、と私は受けとめていました。...