「今冬はインフルが猛威」は本当か インド、バングラデシュで大流行

国内 社会

  • ブックマーク

経口治療薬が近いうちに認可

 加えて、米メルク社の経口治療薬も、そう遠くないうちに認可されるとみられ、塩野義製薬のものも、年度内の実用化が目標とされているのである。

「メルク社の飲み薬、モルヌピラビルは現在、アメリカで緊急使用許可の申請中です。このまま認可されれば、日本でも即座に特例承認の動きが起こると思います。日本はメルク社とのパイプもあるので、承認されれば年内か、来年初めには使えるようになるのではないでしょうか」(同)

 最後にワクチンへの懸念にも答えておきたい。特にモデルナ製の接種後に起きる心筋炎や心膜炎について、寺嶋教授が話を続ける。

「30歳までの男性で、2回目の接種後に多い。全年齢層でみると、ワクチン接種後、100万回に1~2件の頻度ですが、30歳までの男性は、10万回に1~4件程度に起きるので、リスクは10倍ほど。モデルナはファイザーの3~4倍起きやすいのは、モデルナのほうが強力だからかもしれません。しかし、新型コロナにかかっても心筋炎を併発する可能性があり、そのほうが、ワクチンが原因で心筋炎になる確率よりずっと高い。だからワクチンを打ったほうがよく、たとえ心筋炎になっても、ほとんど回復します。どうしても怖ければ、2回目はファイザーに替えてもいい」

 そして、3回目のブースター接種について、

「2回目を打ってから6~8カ月で、高齢者や重症化リスクがある人は、特に接種が勧められます」

 と強調。矢野医師は、

「国民のほとんどが3回目のワクチンを打ったあとは、マスクを外してもいいと考えます。ブースター接種後は、抗体価は2回の接種後にくらべて10倍に、重症化を防ぐ能力は20倍になりますので」

 人流一本足打法の御用専門家がなんと言おうと、日本人はよくやっている。マスク着用率の高さも、ワクチン接種率が急上昇したのも、日本人の意識が緩まないからである。政府が同じ轍を踏むことを避けさえすれば、第6波は恐れるに足りないはずだが。

週刊新潮 2021年11月11日号掲載

特集「『今冬はインフルが猛威』は本当か 『ワクチン不足』でも取れる防衛策」より

前へ 5 6 7 8 9 次へ

[9/9ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。