「今冬はインフルが猛威」は本当か インド、バングラデシュで大流行
専門家と医師会の退場を
一方、第6波の備えに必要なのは、病床だけではないはずである。川口医師が指摘する。
「政府の御用専門家たちは、なぜ第5波が収束したのか総括もせず、相変わらず人流一本足打法を貫徹し、感染者数の減少は“国民の意識と協力のおかげ”と繰り返しています。この根性論は、感染が広がると“国民の意識が緩んで人流が増えた”という表現に変わって、また非建設的なことが繰り返されるだけです」
そして、さらには、
「次の波が来たときには、専門家と医師会の幹部の方々にはご退場いただき、政府はメルク社の経口治療薬や、ブースター接種のためのワクチンが確保できるように、しっかり契約を結んでほしい。これらはみな輸入品なので、それを確保するために外交に力を入れたほうがいい」
と、主張する。続いて米村教授も提言する。
「今後に向けて、政府は経済と感染症対策をどう両立するか、方針を示す必要があります。最も合理的なのは、いままで通りのマスク、手洗い、換気の徹底。このような、感染を直接的に防ぐ“ミクロ政策”が圧倒的に重要なのです。人流を制限するなどのマクロ政策は、社会的機能を止めてしまいますし、みんなが家や会社でリスクが高い行動をしてしまえば、効果は薄くなる。重要なのは密閉空間に入ったあとのミクロの対策なのに、これまでまったく施されていません」
それはなぜなのか。
「政府の専門家のほとんどは、感染症学の専門家だという点が挙げられます。マクロの目線で解析している人たち頼みなので、感染対策が人流抑制などに向きがちなのです。ミクロの対策のほうが現実的で、現にそちらに力を入れている国もありますが、日本は人流と水際ばかりです。たとえば、規制が解除された飲食店に対しても、店内での感染対策はお店に任せられていますが、もっと具体的に指導すべきだと思います」
たとえば、約12万の飲食店が申請し、10万店強が認証された、東京都の認証店。都の産業労働局は、
「都の担当者か委託している業者が出向き、換気の状態、アクリル板の有無、消毒用アルコールの有無などを点検しました」
と話すが、その後は放置されているのが現実だ。
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