「今冬はインフルが猛威」は本当か インド、バングラデシュで大流行
病床は2割増やせるのか
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は、
「段階的緩和のなかで、マスクを着用している時間が減ると、流行の要因になるかもしれません」
と言いながらも、
「今シーズンも、(先に冬を迎えた)オーストラリアなど南半球で流行が確認されていません。それに、日本ではマスクや手洗いなどの感染対策が引き続きとられ、それがなくなることはなさそうなので、今年もインフルを抑え込める可能性は十分にあります」
と説く。現在は足りていないワクチンも、
「12月半ばには、ある程度供給されると聞いている」
とのこと。コロナ対策を怠らず、できればインフルエンザワクチンも打つ。それでインフルエンザを抑えられるなら、話は振り出しに戻る。新型コロナの第6波にどう備えるか、である。寺嶋教授は、
「第5波のときは、酸素吸入や入院が必要であるにもかかわらず、自宅療養を余儀なくされる人が相次ぎました。そういった状況をなくすため、発熱などコロナが疑われる症状が出たとき、すぐに診察や検査をし、迅速に入院できる態勢を作っていくことが重要です」
と訴える。自宅で容体が悪化し、亡くなった人もいたことを思えば、当然だ。
同じ轍を踏まないために、岸田文雄総理は、感染力が第5波の2倍になっても対応できる医療態勢の整備を表明。「幽霊病床」を解消したうえで、入院患者をこれまでより2割多く受け入れられるようにする、といった考えを示した。
その言葉に、われわれは安心していいものかどうか、ここは点検しておいたほうがいいだろう。まずは、各都道府県は本当に病床を増やすことができるのか、である。大阪府の保健医療室保健医療企画課計画推進グループに聞くと、
「すでに病床を提供していただいている公的病院から、プラス2、3床出していただく形で進めています。現状では重症者向けが605床、軽症と中等症用が2838床、確保されていますが、第5波を超えるような非常事態では、特に軽症と中等症向けの病床が足りなくなるので、それを3千床確保したい。ですからあと200、増やしたいと考えています」
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