「今冬はインフルが猛威」は本当か インド、バングラデシュで大流行
昨シーズンのインフルエンザの患者数は少なかったが…
もっとも、昨シーズンのインフルエンザの患者数は、厚労省の推計では約1万4千人。1458万人に及んだ2017-18シーズンの千分の1で、新型コロナ対策として普及したマスク着用や手指の消毒などが功を奏したと考えられている。それらの対策はいまも続けられているが、それでもインフルエンザははやりうるのだろうか。
「今年は乳幼児によくみられ、呼吸器に症状が出るRSウイルス感染症が流行しています。昨年は新型コロナの影響で、このウイルスに感染した人が少なく、集団免疫が獲得されなかったからだとされています。これと同じことが、季節性インフルエンザでも起きるのではないかと、懸念されているのです」
とは、倉敷中央病院の石田直副院長の説明である。
「仮にインフルエンザと新型コロナが同時流行すれば、医療機関に大きな影響を及ぼします。発熱外来に患者が殺到したとして、症状が発熱のみの場合、コロナかインフルエンザか判別が難しい。だから両方の検査が必要になり、ただでさえ飽和状態にある医療機関の診療態勢に、大きな負担がかかります」
だからインフルエンザワクチンを接種すべきなのに、量が足りない、というわけだ。一方、国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長は、
「ワクチンを打っておくに越したことはありませんが、現時点で大騒ぎする話ではないと思います」
と言って、続ける。
「インフルエンザは短距離から長距離までの空気感染によるもので、コロナと感染経路が一緒。ひいては有効な対策も同じです。日本ではコロナ禍で、マスク着用や換気などの対策がしっかり行われているから、大きな流行は起こらないと考えます。コロナとの同時流行の可能性も、否定はしきれないにせよ、ケアすべきところは一緒。同時にはやる可能性があるなら、それを念頭に置いて行動すればいいだけで、やることが2倍になるわけではない。きちんと対策すれば同時に抑えられると思いますよ」
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