いつまでキムタクは「若者代表」ポジション? 最後の国民的スターとしてのプライドとしんどさ
「推し」が細分化する時代 最後の「国民的スター」としてのプライドと責任感
木村さんは、最後の「国民的スター」だと思う。抱かれたいタレントランキングで殿堂入りを果たし、男女双方から憧れられる存在だったことに異論を唱える人はいないだろう。ドラマで身に着けた服やバイク、髪型が大流行。工藤静香さんとの強行できちゃった婚やSMAP解散時には悪者扱いをされたものの、それだけ世間に与えるインパクトの大きい人であったのは確かだ。何を演じさせてもキムタクというバッシングは多いが、主演映画やドラマは必ず大ヒット。コロナ禍でも「マスカレード・ナイト」は観客動員数200万人突破、2019年の「グランメゾン東京」も平均視聴率12.8%と大健闘だった。
最近では「推し」という言葉が使われるが、好きなタイプは誰、と聞いたら百人百通りの答えが返ってくる時代である。趣味や嗜好が細分化し、「国民的スター」は不在となった。
木村さんがいつでもキムタク、年甲斐もなく若造ぶっていると言われるのは、自分が最後の国民的スターだという自覚があるからのように感じる。推してくれる人に推してもらえばいい、というポジションをもはや超えている。不本意だろうとも誰よりも「キムタク」像にプライドを持ち、求められた役を「キムタク」っぽく演じる。その責任感の強さとしんどさは想像を絶するが、だからこそ大スターになれた。そしてめぐりめぐって、「ヤンチャな少年の心をもった大人」というタレントイメージを定着させたのではないだろうか。
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