阪神 まさかの2位、CS惨敗も…ヤクルトや巨人より“未来”は明るい理由

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ドラフトは将来性を重視

 そして、19年以降の3年間。阪神のドラフト戦略は、さらに冴えを見せることになる。19年には、球団史上初めて1位から5位まで高校生で揃える思い切った指名を断行した。この中から3位の及川雅貴が、今年早くも中継ぎ投手として、一軍の貴重な戦力となったほか、1位の西純矢と2位の井上広大もまた、二軍で順調に成績を伸ばしている。

 今季はルーキーの佐藤や伊藤将司、中野が、期待以上の働きを見せてくれた。20年のドラフトでこれだけ即戦力に振り切った指名ができたのは、前年の高校生の大量指名があったからに他ならない。

 今年のドラフトは、再び将来性を重視して、超高校級投手の森木大智を1位で指名している。優勝まであと一歩に迫っているチーム事情を考えると、2年続けて即戦力を狙った指名をしてもおかしくない。それを我慢して、未来のエース候補を優先したことは高く評価できるだろう。

 また、過去3年間に指名した支配下選手のポジションの内訳を見ると、投手11人、野手10人。カテゴリーの内訳を見ても、高校生9人、大学生8人 社会人3人 独立リーグ1人と、非常にバランスの取れた指名となっている。

 03年と05年の優勝は、他球団で実績のある選手を集める“血の入れ替え”で成し遂げたものだった。現在のチームからはそのような匂いはほとんど感じられない。23歳以下の若手に将来性のある選手が揃っていることは、優勝を争ったヤクルト、巨人にはない大きなアドバンテージである。彼らが不動の主力となって、生え抜きの力で、他球団を圧倒する強い阪神を復活させてくれることに期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月13日掲載

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