太る元凶「ニセの食欲」を抑え込む食事術とは 別腹が生まれるメカニズム、12時間以内に3食が理想
「朝食抜き」を避けるべき理由
三つめの対策としては「時間」で管理すること。守ることはただ一つ、「朝食から夕食までを10~12時間以内に収めるようにする」のだ。これによって残りの12時間は空腹を感じづらくなる。この習慣は、運動トレーニングや糖質制限と比べると、1年後の定着率が高いことがわかっている。
農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員の大池秀明氏がこう説明する。
「12時間以内に3食を食べると、“活動時間帯あたりの食事量”が多くなりますね。ですから空腹を感じにくくなる。また夕飯を早く、軽く済ませ、就寝まで3~4時間あけるとなおいいでしょう。睡眠の質が深くなり、夜に食欲が低下することがわかっています」
ここで重要なポイントがある。夜更かしタイプでも、「朝食を抜く」ことは避けたほうがいい。
その理由を2017年にノーベル生理学・医学賞の受賞理由にもなった「体内時計」の観点から説明しよう。体内時計とは、昼夜にあわせて体温やホルモン分泌など体内環境を変化させる機能の総称だ。人の体の中のあらゆる細胞には時計遺伝子が存在し、日中に活動状態となり、夜は自然と眠くなるような一日周期のリズムを司っている。
「各臓器や筋肉、皮膚、ホルモン、体温などにすべてリズムがあるのです。例えば食欲を増進させるグレリンは朝に分泌が少ないため、人はどうしても朝に食欲が起きにくい。一方でインスリンは朝に効きやすくなるため、朝食では糖質を食べても血糖値が上がりづらい。反対に夜になるほどインスリンが効きにくい。ですから同じ食事を朝・昼・夕と取れば夜が一番血糖値が上がります」(同)
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