前代未聞の「関西スーパー」株主総会 「OKストア」が経営統合“差し止め処分”申請の全内幕

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関西スーパーは大丈夫か

 9日夕方、オーケーは神戸地裁に、関西スーパーとH2Oグループとの経営統合(株式交換)の差し止めを求めて仮処分の申し立てを行った。はたして裁判所は、どんな判断を下すのだろうか。

「理屈の上ではアウトでしょう。しかし、裁判所の判断は現状追認というケースが少なくありません。難しい判断になるでしょう」

 裁判所がオーケーの申し立てを認めた場合は?

「H2Oとの経営統合は白紙に戻ります。関西スーパーはもちろん、H2Oのの経営陣も責任問題にもなりかねません。その一方、オーケーはこれまで株主に『関西スーパーとともに成長する』と訴えてきましたから、裁判所が申し立てを認めれば、再びTOBの検討を始めるのが筋でしょう」

 逆に裁判所がオーケーの申し立てを認めなければ、関西スーパーがH2Oグループの傘下に入ることが正式に決まる。となれば、バラ色の未来が待っている?

「難しいでしょうね。当初から理論株価を疑問視する声がありましたが、実際に10月29日の株主総会で経営統合が承認されたという結果を受けて株価が急落しました。もしこのまま経営統合した場合、いつになったら2400~3018円もの株価を実現するのかと株主に問われ続けることになるでしょう。しかも、関西スーパーのプロパーの役員の多くは、子会社へと格下げとなり、経営権までH2Oに明け渡したようなものですから、どれだけ独自に利益を出そうとも、H2Oグループ出身の役員の判断で使われることになるでしょう。なにより、株価急落もあり株主からは怨嗟の声が上がっていますし、自らの存在価値を貶める事態になったことは間違いありません。それに対して、オーケー側は申し立てが認められなくても特に失うものはありません。関西単独進出も含めて、いくらでも選択肢が残ります」

 なぜ、関西スーパーはH2Oを選んだのだろう。

「普通はこれほど不利な条件は呑みません。関西スーパーからすると、関東のOKストアとかいう、関西では知られていない格下が買収を持ちかけてきたから、という感情論としか思い当たらないのです」

デイリー新潮取材班

2021年11月11日掲載

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