前代未聞の「関西スーパー」株主総会 「OKストア」が経営統合“差し止め処分”申請の全内幕
異例の事態だ。関西の老舗スーパー「関西スーパーマーケット」を巡る戦いは終わっていなかった。買収を持ちかけたOKストア(株式会社オーケー)に対し、経営統合を提案したエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)、その争いは10月29日、関西スーパーの臨時株主総会でH2Oに軍配が上がったことで決着がついたと思われた。
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デイリー新潮は「『OKストア』はなぜ『関西スーパー』買収に動いたか 現経営陣は知らない創業者同士の深い縁」(10月5日配信)で、オーケーが買収に動いた経緯を報じた。
関西スーパーは今年6月9日、オーケーからTOB(株式公開買い付け)による買収を持ちかけられていた。ところが8月31日になって、H2O傘下の「イズミヤ」「阪急オアシス」との経営統合を選んだことで、その対立が表面化した。
9月3日、オーケーは改めてTOB実施の考えを表明。TOB価格の1株2250円は、前日終値のおよそ1.6倍と破格の値段で、この日から関西スーパーの株価はストップ高を連発した。これに対抗した関西スーパーは、H2Oと組めば理論株価は2400~3018円に跳ね上がるとバラ色の未来を発表。業界通は言う。
「そもそも関西スーパーの株主からも、なぜ業績の悪いイズミヤや阪急オアシスと組まなければならないのか疑問の声が上がっていて、どうしたら理論株価になるのか質問状が出されたほどでした。結局、その溝は埋まらぬまま、勝負は10月29日の臨時株主総会に持ち込まれました」
0.02ポイント差の勝利
臨時株主総会では、H2Oとの経営統合の承認が求められ、17万9876個の議決権が賛成に回って承認された。反対は7万1995個、棄権は1万7873個で、賛成の割合は66.68%だった。
「出席した株主の3分の2以上、つまり66.666……%以上なら可決となるのですが、わずか0.02ポイントの僅差で承認されたことが話題になりました。とはいえ、勝ちは勝ちですから、この日のうちにオーケーも提案を取り下げたのです」
ところが、その後、関西スーパーの株価はストップ安を記録する。
「総会後の取引日、11月1日は、日経平均が754円も上がる中、関西スーパー株は前週末比マイナス400円のストップ安に。オーケーが断念したことによる“失望売り”と報じたところもありました」
後の祭りと思われたが、11月8日にオーケーが再び動いた。『関西スーパー様の臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義の判明について』というプレスリリースを発表。中立的な総会検査役の弁護士が裁判所に提出した書類により、臨時株主総会の当初の集計では僅差で否決されていたものの、関西スーパーが白紙で投票された用紙を賛成に集計し直したことで承認されたことが判明した、という内容だ。
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