日本はデフレが続き「安売り状態」 外資が超高級ホテルを建設も“日本人と犬は泊まれない”

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下がる不動産価格

 しかも、この傾向はまだまだ続きそうだという。11月3日、米国はテーパリング(tapering=先細り)という金融緩和を徐々に元に戻す金融政策に転換したが、早晩、金利も引き上げていくのでは、と見られている。

「なぜ金融政策の転換に踏み切ったかと言えば、米国景気が加熱ぎみで国内の家賃など物価が大きく上昇し、成長とともにインフレが起きているためです。一方で、日本は景気回復が遅れていてまだまだデフレ傾向ですから、量的緩和を止めるメドが立っていません。このままだと、日米の金利差から金利の高いドルが買われ、さらに円安が進む可能性があります」(同)

 進む円安で、外国資本から見ると日本は「安売り状態」になっていると、投資家の動向に詳しい経済ジャーナリストは言う。

「今、京都では世界の高級リゾート会社が、続々と超高級ホテルを開業しています。2019年11月には『アマン京都』が開業したほか、ヒルトンも最上位ブランドの『LXRホテルズ&リゾーツ』をアジアで初めてオープンしました。円安になったことで相対的に日本の不動産価格が下がり、投資が入っています」

日本ブームに拍車をかける円安

 だが、これら高級ホテルがターゲットとして狙っているのは日本人ではない。コロナ後、大ブームになるであろう“日本旅行”で、海外から押し寄せる旅行客だ。もともとは、2020年に行われるはずだった東京オリンピック・パラリンピックで、4000万人のインバウンド客を見込んでいた。新型コロナで空振りに終わったものの、コロナが収束すれば、4000万人も超える顧客を見込んでいるというのだ。

「しかも皮肉なことに、現在進んでいる円安が、日本ブームに拍車をかけるでしょう。何しろ円安で日本旅行は『安い』のです。首都のビジネス街のレストラン、日本なら東京駅前で前菜とメインとコーヒーまで付くランチを食べて20ドル以内で済むなどという国は、他の先進国ではまずありません。京都にできた超高級ホテルの価格設定は1泊1人最低10万円からですが、実は日本以外のアジアからの旅行者にとっても決してべらぼうに高い価格でもない。シンガポールでも高級ホテルの通常の価格設定は1泊5万円です。欧米のみならず、アジアからの旅行者で予約が取れなくなるということもあり得ます。しかし、貧しくなったフツーの日本人には、残念ながら、高嶺の花で泊まれないということになりそうですが……」(同)

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