違法残業の「小山ロール」 著書で検証、パティシエ「小山進氏」も“やりがい搾取”された修行時代
マスコミ各社は11月3日、ロールケーキ「小山ロール」で知られる洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」(兵庫県三田市)の運営会社が、社員の半分に過労死ラインを超える残業をさせていたと報じた。担当記者が言う。
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【写真3枚】「パティシエ エス コヤマ」の通販サイトには、美しいスイーツの写真が多数、アップされている。これらも”過労死ライン”の残業によって作られたものなのだろうか?
「労働基準監督署が残業の是正勧告を行ったという記事でしたが、これが2回目の勧告だったことも注目が集まりました。最初は2018年1月、社員や契約社員など約100人のうち55人に、そして21年1月には48人に、“過労死ライン”とされる月100時間を超える時間外労働を課していました。更に、一部社員への残業代の未払いも発覚しました」
「パティシエ エス コヤマ」は、“カリスマ・パティシエ”とも称される小山進氏が経営している。
「小山さんは1964年2月生まれの57歳。90年代末、『TVチャンピオン』(テレビ東京系列・1992〜2006年)のケーキ職人選手権でグランドチャンピオンに輝き、一気に知名度を獲得しました。その際に看板商品の『小山ロール』が誕生。2003年に兵庫県三田市に『パティシエ エス コヤマ』をオープンしました」(同・記者)
県庁所在地の神戸市が人口約152万人なのに対し、三田市は約11万人。マーケティング理論からすると、人口密集地への出店は“常識”だ。
それこそ小山氏なら、東京でも成功しただろう。三田市への出店は、融資を担当する銀行が難色を示したというエピソードも残っている。
ブラック企業の定義
「味はもちろんですが、自然が豊かな郊外に建つ“高級スイーツの工房”というコンセプトも消費者から評価されました。『小山ロール』の値段は1本1000円を超え、賞味期限は“当日”とされているにもかかわらず飛ぶように売れ、1日に1600本を販売したという記録も残っているそうです」(同・記者)
2011年からはフランスで開催されるチョコレートの品評会「Club des Croqueurs de Chocolat」にも参加。最高位賞を8年連続で受賞した。
「小山さんが非常に優れたパティシエであるのは論を俟ちません。Twitterを見ると今回の報道に、『バリバリのブラック企業だったんかい』という批判も殺到していますが、残業問題には触れず『小山ロール美味しい』という投稿もかなりあります」(同・記者)
労働基準監督署から2回も是正勧告を受けているという事実だけでも、「パティシエ エス コヤマ」の悪質性は明らかだ。
とはいえ、「典型的なブラック企業」の手口というわけではないようだ。労働問題に詳しい専門家は「やりがい搾取」の側面を指摘している。
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