ローソンの「だけ弁当」、次はミートボール セブンやファミマが追随しないワケ

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じつは違う「ローソン100」と「ローソン」のウインナー弁当

 ひとつ目は利益構造の問題だ。「コンビニと100円ショップとでは求める利益構造や品質がそもそも違います」と渡辺氏はいうが、これはローソン100で売られているウインナー弁当と、通常のローソンで売られているウインナー弁当を比べてみると分かりやすい。値段も同じ200円なのだが、実はいろいろな点で違いがある。

 まず、製造者が異なる。東京・新宿区内の同エリアにあるローソン100(以下、100)と普通のローソンで売られているウインナー弁当を比べると、前者は100で売られる弁当を手がける新潟県の「ミシマデリカ」が、後者はローソンの弁当を手がける「グルメデリカ群馬工場」がそれぞれ製造者となっている(販売エリアによっては異なる場合あり)。また、100のウインナー弁当は上面にラップをかけた簡易包装なのに対し、ローソンのほうはプラスチック製の蓋がつけられている。

 極めつけは、ウインナーの大きさ。100の方があきらかに長いのだ。実際、100は「447kcal」あるのに対し、ローソンは「421kcal」とカロリーが低い。先の記者からはこんな評も聞こえてきた。

「食べ比べると分かるのですが、100のほうがウインナーがスモーキーで、歯ごたえもある。ローソンの方も“ザ・安飯”という味で嫌いではないのですが、おそらく100の方がおいしいと感じる人が多いのでは」

 つまりおなじウインナー弁当でも、100とローソンでは、コストのかけ方に違いがあるわけだ。

「ローソンの方が衛生面の基準が厳しく、ラップの簡易包装を許していないのでしょう。また味に違いがあるということは、食材の仕入れ先も違うはず。100でのヒットを受けてローソンでも売ることにしたのだと推察しますが、安い弁当を作るノウハウがある会社と、普通の弁当を作る技術に長けた会社の違いが見て取れますね。もしかするとローソンには、他の弁当と同じくらいの利益率を確保したいという事情もあるのかもしれません」(渡辺氏)

 ローソンの企業努力が垣間見えるわけだが、逆にいえば、これほどまでに工夫を重ねなけば、普通のコンビニで200円の「だけ弁当」は販売しにくいということでもある。この点でも、他社は参入しにくいといえよう。

二番煎じ

 2点目として、渡辺氏は「客層の違い」を挙げる。

「SNSを中心に“バズった”今でこそ幅広く注目されていますが、『だけ弁当』のようなリーズナブルな弁当を求める層と、コンビニの弁当を求める層というのは、本来異なるわけです。やや極端なたとえでいえば、高級路線のナチュラルローソンに『だけ弁当』を置いても売れないのと同じ。低価格でミニサイズの弁当は他社も出していますが、セブンの『一膳ごはん』は250円から350円の価格帯、ファミマの『トクトク弁当』も330円と、『だけ弁当』よりはちょっとだけ高い。マーケティングの結果、この値段でこの質、というところに落ち着いているわけです。ましてやいま販売をしてもローソンの二番煎じで、それほど話題にもならず、興味本位での購買も期待しにくいでしょうし……」

 以上のことから、セブンやファミマの参入は難しそうだ。まずはローソン100の「ミートボール弁当」に期待したい。

デイリー新潮取材班

2021年11月9日掲載

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