膝の怪我で7回手術……バレーボール35歳「清水邦広」が満身創痍で現役を続ける理由

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プレーが通用しないと自覚すれば

「中山ゴンさん(元サッカー選手の中山雅史さん)に長く現役を続けた理由を聞いたことがあったんです。すると、『以前は30歳を超えたら引退する選手がほとんどだったけれど、今は医療も発達しているし、練習やメンテナンスの方法にも様々な選択肢ができた。だから選手を続けていられる。自分が長く続けるほど、選手たちの引退する年齢が上がっていくと思う』と話していました。ゴンさんがサッカーで示したように、僕もバレー界の“指標”となりたいですね。

 もちろん、若い選手にも負けたくない。膝の怪我や年齢もあり、今までと違って高くジャンプしてキレのあるスパイクを打つことはできないので、プレースタイルを変えていかなければなりません。ブロックアウトやハーフアタック(軟打)などのテクニックを磨いたり、外国人のうまいプレーヤーの技を盗んだり、自分で研究しながら新たな技を考えています。Vリーグは4月半ばまで続きますから、調子を取り戻すだけではなく、さらにパフォーマンスを上げていきたいと思います。

 もし、自分に“引き時”があるとすれば、プレーが通用しなくなったと自覚したとき、でしょうか。でも、自分ではまだまだプレーは伸びると思うので、それを証明しなければなりませんね」

今の日本代表は歴代屈指

 2007年に21歳で初めて日本代表に選出されてから14年間、「世界でどう戦っていくかを常に考えて、上へ上へと目標を掲げてきた」と話す清水だが、「代表には未練がない」と断言する。そして、3年後にパリオリンピックを控える若い選手たちにエールを送った。

「今の日本代表は歴代屈指と言えるほど、すばらしい選手が揃っています。東京オリンピックという大舞台でも力を発揮して結果を残せましたし、さらに大会を通して選手たちが成長していく様子を見ていて、彼らはまだまだ強くなるはずだと確信しました。ただ、オリンピック予選の壁となるオーストラリア、中国、そして最大のライバル・イランには絶対、勝たなくてはなりません。

 世界の高さやパワーは、日本でプレーしているだけでは感覚として掴むことはできません。今後は世界選手権等の試合であったり、海外のチームとの合同合宿や遠征などで、どれだけ経験をつめるかがひとつの“鍵”になってきます。オリンピックに出たら、東京よりも良い結果を求められて、さらにプレッシャーがかかってくるでしょう。でもそれが勝負の世界、それが楽しさです。彼らが逆境を乗り越える姿を、自分はテレビで応援したいと思っています」

(敬称略)

デイリー新潮取材班

2021年11月8日掲載

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