市販薬と病院の薬、効果の違いは? 薬剤師が教えるドラッグストアの賢い使い方
値段やパッケージではなく有効成分の確認を
〈ではその上で、市販の風邪薬は種類が多いが、どう選ぶのがよいのだろうか。アドバイスをいただこう。〉
日本の総合感冒薬の特徴は、含まれる成分が非常に多いことです。海外の風邪薬は成分が1~3種類程度であることが多いのに対し、日本では7~8種類も配合されているものがあります。成分が多いのが悪いわけではないのですが、それぞれに副作用などもあるので、選び方は難しくなります。
重要なのは、パッケージデザインやCM、値段に惑わされないこと。派手な箱や売り文句より、有効成分を見ましょう。名前や値段が違うのに、中身の成分はほとんど変わらないという薬もあります。
たいていの市販の風邪薬は、「解熱鎮痛」「喉の痛みの改善」「鼻水・鼻づまりの改善」「咳止め」の作用を持つ四つの成分でできています。
この中で特に抑えたい症状があれば、その症状に特化した薬を選ぶ方がよいでしょう。「パブロンメディカルシリーズ」「ルルアタックシリーズ」「エスタックイブシリーズ」などは、「のど」「せき」「はな」など、症状別に有効成分の量を変えた薬を出しています。
解熱鎮痛剤については、以前の総合感冒薬の多くは1回あたりイブプロフェン150ミリグラム配合というものが多かったのですが、近年200ミリグラムを配合したものが増えてきました。少しでも解熱鎮痛効果が高いものを、ということでしたら、この200ミリグラム配合のタイプを選んでいただければと思います。
実は、薬剤師に「風邪を引いた時に何を飲みますか」と聞くと、葛根湯(かっこんとう)と答える人が少なくありません。漢方薬は、総合感冒薬と効果はほとんど同じ、でも副作用が少なそう……というのが、人気の理由かもしれません。
市販の漢方薬ですと、適した体質や症状がパッケージ等に記載されています。これらをブランド横並びで見比べていただくと、自分に合ったものが選びやすいです。例えばツムラの「桂枝湯(けいしとう)」は、風邪の引きはじめで、虚弱な人で、汗をかいている人に向いています。一方「葛根湯」は、風邪の引きはじめで汗をかいていない人向けと記載されています。このあたりは漢方薬独特ですね。使う勘所が必要ですので、薬剤師、できれば漢方専門店に聞いてみるのがお勧めです。
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